確かに、質疑応答でまるで想定していない質問をされたら、焦ってしまいますね。特に、経験の浅い若手社員に見られるのが、想定外の質問に対して「しどろもどろ」になってしまう状況です。
例えば、新製品のプレゼンの質疑応答で次のようなやりとりがあったとします。
質問者:「この製品の競合他社との差異化ポイントは何ですか?」
回答者:「えっと、そうですね……(長い沈黙)。申し訳ありません、持ち帰りまして、後ほど回答させてください」
これでは、相手に頼りない印象を与えかねません。新製品を採用される見込みも低いでしょう。しかし、私に言わせれば、この質問は、いかにも質問されそうな内容です。これに答えられない時点で、説明下手というよりも単なる準備不足です。
説明上手は、“想定外”の質問に対しても冷静に対応できます。それは、あらゆる質問に対応できるよう、入念な準備をしているからです。
説明上手な人が行う
3つの想定質問対策
では、説明上手は想定質問の対策として、どのような準備をしているのでしょうか。説明上手がしている準備の手順を3つ、ご紹介します。
1.想定質問をリストアップ
まずは、想定される質問事項をリストアップします。ポイントは、第三者目線で考えることです。つい専門的な質問を想定してしまうかもしれませんが、あくまでも“聞き手目線”で考えましょう。初めてあなたの商品やサービス、プロジェクトについて聞いた人はどんな疑問を抱くのか。初歩的な質問もあるかもしれませんし、競合他社との比較についても聞かれるかもしれません。業界全体のトレンドについても調べておくと安心です。ここまでは自分で可能な準備です。
2.先輩や同僚に相談
しかし、自分で用意できる範囲は限られています。そこで、周りの先輩や同僚にも相談して「どんな質問が想定されるか」幅広く集めましょう。
自分の担当ではない分野について質問されるかもしれませんので、技術部門や法務担当など、専門的な部署の同僚に聞いてみるのもおすすめです。
『きちんと伝わる説明の「型」と「コツ」』(阿部 恵、三笠書房)
3.回答例をまとめる
質問をリストアップできたら、それに対する回答例をまとめます。メモ書き程度で構いませんので、必ず文章化しておきましょう。予め文章化していれば、話がそれたり、長くなったりするのを防ぐことができます。このメモを手元に用意しておくことで、本番の質疑応答でも慌てず、ポイントを押さえて説明することができます。







