「東北大学=学力不要になる」は完全な勘違い
私たちが運営する教育メディアで、東北大学が「2050年までに総合型選抜を100%にする方針を発表した」というニュースを掲載した際、SNS上では大きな反響がありました。
中でも多かったのが、「旧帝大の一角に入るのに学力が必要なくなるなんてありえない」「面接で何がわかるんだ。日本の教育が終わる」といった批判の声でした。
しかし、これはあまりにも的外れな批判です。東北大学の総合型選抜では、現在の入試形態において、学力を課しています。共通テストの成績が評価に含まれる場合もありますし、大学独自の筆記試験を実施する場合もあります。
つまり、東北大学が言う「総合型選抜100%」とは、「ペーパーテスト一辺倒ではなく、学力+探究力+人物面を総合的に評価する方向にシフトしていく」という意味であって、「学力を見ない」という話ではまったくありません。
総合型選抜は、「学力を測る入試」から「学力を含めて多面的に測る入試」へとアップデートされた形なのです。
「学力以外」も見られるが、「学力の土台」は前提
推薦入試では確かに、面接や小論文、志望理由書、課外活動の経験なども評価対象になります。
しかし、それは学力を無視してよいという意味ではありません。むしろ、大学は「学力があるうえで、さらにどんな考え方や行動ができるか」を見ています。
いくら課外活動が華やかでも、学力の土台がなければ大学での専門的な学びについていけません。学力とは、単なる知識ではなく、「学び続ける基礎体力」なのです。
推薦入試では、その基礎体力に加えて、「なぜ学びたいのか」「どのように社会に生かしたいのか」という学びの目的意識を問われます。つまり、「勉強だけが得意な子」ではなく、「勉強する意味を考えられる子」が求められているのです。
「学力だけ」でも「学力ゼロ」でも戦えない時代へ
推薦入試は、学力を軽視しているのではなく、「学力だけでは測れない力」も正当に評価しようとする制度です。その意味で、学力だけで勝負する時代は終わりつつある一方で、学力ゼロでも通用する時代では決してないのです。
今の時代、大学や社会が本当に求めているのは、「考える力」「表現する力」「学びを社会につなげる力」など、学力を活かして行動できる子です。
推薦入試は、その人の「学び方」や「成長の姿勢」までも評価する入試です。だからこそ、単なる“裏口”でも“おまけのルート”でもありません。むしろ、学力を前提にしたうえで、「その先にある力」を見ようとしているのだと言えるでしょう。
(この記事は『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』を元に作成したオリジナル記事です)




