危ない目に遭いながら
毎日100人に声を掛けた
「修業だとか言って、マジあり得ないですよね。全然、うちの活動地域じゃない池袋で『毎日100人に声掛けて、(女性を)揚げてこい』って。
でも、やりましたよ。同じ場所にずっと立ってると、その地域を仕切る人にシバかれるんで、自転車買って、それでいろいろ走り回りながら、マジで辛かったっす。
1回、さらわれて、半グレがやってるバーに監禁された時なんか、もうそこでガンガン怒鳴られたり、財布取り上げられたりしてるのに、身請けに来たその先輩に、今度は歌舞伎町の、ヤクザしか来ないスナックに連れてかれて、また軟禁で説教されて」
それでも、彼は頑張った。連日、池袋周辺を自転車で走り回り、朝から晩まで声を掛け続けること、2週間。ついに、1人の女性の転職希望を叶えることに成功したという。
「最初の子は、今でもはっきり覚えていますね。真っ昼間、平和通りからちょっと入ったところの路地で、コンビニの袋を持って歩いている女の子がいて。遠目から見ても、ハイパー顔でかいんです。モアイ像みたいな感じで、頭が重すぎて両肩の間に埋もれてる、みたいな。もちろん身体もブヨブヨっす。
もうほんと、警戒心ゼロみたいな感じで歩いてきたから、声掛けたら、いきなり腕組んできて『いいよー』って。コンビニの袋に菓子パンが入ってたんで、ちょっと歩いたところにあったベンチで一緒に食って。大塚のヘルスで働いてる子でした。『(勤務先を替えるのは)いいよー。でも、今から買い物付き合って』って」
2人は方向を変え、サンシャイン通りの裏手にあるショップに買い物に行った。
「一緒に服屋に行っても、なんか買ってほしいとか、そういうのは全然ないですよ。普通に買い物に付き合って、で、いろいろ連絡先とか交換して」
歌舞伎町の路上デビューも
最初の3カ月は給料4万円
彼はようやく、1人のスカウトに成功したが、話はまだ終わらない。
「いやぁ、軽いノリでお店も移ってくれたんですけどね。彼女、たった1日で辞めましたね。(スカウト会社の)代表に呼び出されて、けっこう熱く叱られたんです。『スカウトやるなら、ちゃんと人間関係を作れ。一緒に遊べ』って。それはけっこう響いたっすね。







