一方、ヤマヨツボシオオアリの行動は曖昧で、攻撃行動に出るときもあれば、噛んだ途端に離れてしまったり、蟻酸をかけるふりをして逃げ出したりする。さらには、別の巣のアリなのに、お互いに触角をパタパタさせる探索行動やお互い舐め合うグルーミング(編集部注/脚などを使って体をきれいにすること)をするケースもあった。
アリが「グルーミング」を行う
もうひとつの理由が判明した!
その後、それらのコロニーを3カ月間、同じ巣材、同じ食料で飼育してから、同じ組み合わせで対戦させてみた。
結果は、多女王性のヤマヨツボシオオアリの敵対行動はより一層、低下!一方のナワヨツボシオオアリに変化はない。これは興味深い結果になったぞ、と4年生の僕は喜んだ。
アリは同じ巣の仲間かどうかをにおいで識別している。体表のワックス(体表炭化水素)の成分が違うとにおいが変わるため、仲間かどうかを判断するのだ。
ネコが毛繕いをするように、アリが自分の体を舐めたり、互いに舐め合ったりする「グルーミング」は、よく知られたアリの生態のひとつだ。
その目的は、外から巣に帰ってきたとき微生物を持ち込まないよう体を清潔に保つためと、もうひとつ、仲間同士で体表炭化水素の成分を交換・混合し合うため。
このグルーミングによって、同じ巣の仲間同士が同じにおいをまとい、仲間とそれ以外を区別する。
アリってすごくない?
アリの研究者への道が拓いた
他の巣のアリに対してもグルーミングをするヤマヨツボシオオアリは寛容なのか、「だいたい似てるから、ま、いっか」という感じ。同じ巣の仲間を厳格に識別していて、他者の侵入を絶対に許さないナワヨツボシオオアリとはずいぶんと違う。
それは、この2種が暮らす環境が大きく影響を与えていると考えられた。
ナワヨツボシオオアリは南のほうに生息する単女王性のアリだ。多くは関東以西、以南に分布する。食料は豊富だし、寒さも厳しくない。雪が積もることは稀で、朽木に営巣していても年中安心。侵入者を排除することが、巣と自分たち姉妹を守ることになる。







