学者・研究者として
活躍する卒業生たち
学者・研究者では、まず学長経験者を挙げてみよう。
旧「岩東」卒では、土木工学者の名和豊春が2017年に第19代北海道大総長になった。しかし、パワーハラスメントの疑いがあるとして総長選考会議が学長解任に相当するとの結論を出し、2020年6月、文部科学省は総長解任を発表した。
これに対し名和は国と北大を相手取り、解任処分の取り消しなどを求め札幌地方裁判所に提訴した。札幌地裁は24年3月、名和の請求を棄却する判決を出した。
荒川卓(たかし)は建築工学者で、1991年に第9代室蘭工業大学長に就いた。
谷本一之はアイヌ民族の研究者で、1989年に第9代北海道教育大学長に就いた。
旧「岩西」卒では、がん研究の第一人者とされる菊地浩吉が1986年に札幌医科大学長に就任した。北大医学部卒で日本免疫学会会長なども歴任し、北海道文化賞なども受賞している。
旧「岩東」卒の文系学者では、国文学者の家郷(かごう)隆文がいる。藤女子大教授を経て龍谷大教授を長く務めた。歌手の中島みゆき(北海道立帯広柏葉高校卒)は藤女子大在学中に家郷ゼミに属しており、卒業論文指導を受けた。
松浦敬紀は経営学者で、元多摩大教授だ。中央大法学部卒後に週刊ダイヤモンド記者を務めた経験を持つ。NHK教育テレビで司会者などもつとめた。
経営学者の上原征彦(ゆきひこ)、金融学者の高山朋子、観光学者の吉岡宏高らもOB・OGだ。
理系では、地質学者で元東大教授の木村学がOBだ。初代の日本地球惑星科学連合会長を務め、プレートテクトニクスの専門家だ。
旧「岩西」出身では、情報工学者の小野哲雄がいる。
俳優からスポーツ選手まで
卒業生は多士済々
文化人に移ろう。
旧「岩東」卒では、少女小説の氷室冴子がいたが、2008年に死去した。誌人のヤリタミサコは高校時代、氷室と同級だった。
漫画家では、もんでんあきこがOGだ。代表作は『竜の結晶』だ。
川俣正は造形作家だ。川上雄大は、フォークロックシンガーだ。
俳優の江良潤がOBだ。
旧「岩西」卒では、詩人の柴田望、彫刻家の小野寺紀子がOB・OGだ。
本間文子は昭和時代の女優で、「岩西」の前身である岩見沢高等女学校卒だ。2009年に死去した。
スポーツでは、パラグライダー選手の平木啓子が国際大会や日本選手権で20回近く優勝し、抜群の強さを誇っている。旧「岩東」を経て東海大工学部航空宇宙学科卒で、29歳からパラグライダーを始めた。現在はフィールドプロ所属だ。
野球では、社会人野球で活躍しNTT北海道の監督を務めた柳俊之が、旧「岩東」を経て芝浦工業大卒だ。
高校野球の発展と選手育成に尽くした指導者を、日本高野連が「育成功労賞」として表彰する制度がある。本別高校や知内高校で野球部監督を務めた元知内町教育長の本間茂裕は2023年、この賞に選ばれた。本間は旧「岩西」野球部出身だ。
バレーボール選手では、Vリーグ・ブレス浜松所属の水上真悠子がいる。旧「岩西」を経て星槎道都大卒だ。身長172センチのアウトサイドヒッターだ。(敬称略)
(フリージャーナリスト 猪熊建夫)







