同じ年齢でも、なぜか若々しく見える人がいる。一方で、年齢以上に老けて見える人もいる。その差はどこにあるのか? 18言語で話題の世界的ベストセラー『一点集中術━━限られた時間で次々とやりたいことを実現できる』から、訳者の栗木さつき氏にヒントをうかがった。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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「毎日の積み重ね」が顔に刻まれる
栗木さつき氏(以下、栗木):私は人の「顔つき」というものに興味があるというか、つい注意がいってしまうんですね。
それで、歳をとってもキリッとした若々しい顔つきの人と、そうでもない人がいるなあと思っていたんです。
それっていったいどういうことかなあと思っていたんですが、最近はその違いは、何よりも「その人が幸福そうに見えるかどうか」に集約されると考えています。
もちろん、若く見える方のなかには体力づくりや外見のケアに努力されている方も多いでしょう。ただ、やはり最終的には、その人が「幸福そうかどうか」がいちばん大きな違いなんだと思います。
――たしかに、毎日の積み重ねが表情に出そうな気はします。その幸福というのは、具体的にはどういうことですか?
栗木:もちろん、人によっていろいろとは思いますけど、『一点集中術』では、「ひとつのことに深く没頭する」ことで得られる充足感が、幸福感のカギだと述べられていますね。
たとえば、美術館に行ったり、本を読んだり、散歩をしたりといったスローな体験。これらを通じて自分自身と向き合い、時間を深く味わうことが幸福感につながっていくと書かれていて、本当にその通りだと思います。
「いまここ」にいることの重要性
――他に、内面の充実のためにできることはありますか?
栗木:本書では「マインドフルネス」についても言及されています。瞑想や内省を通じて、いまこの瞬間をゆっくりと味わい、時間を「拡張」する。これはとても大事なことです。
ただし同時に、それは難しいことでもあります。人は自分の内面を見つめるのが怖いから、つい外側の刺激にばかり目を向けてしまう。そしてどうでもいいことに、たくさんの時間を使ってしまうんですね。
こうした感情的な消耗や非生産性から抜け出すために、著者は「一点集中の原則」というものを紹介しています。以下は本書からです。
あなたがもっとも創造性を発揮でき、成果をあげ、自分を誇らしく思えたのは、どんなときだろう? そのときあなたは、目の前の作業に没頭していたはずだ。
「一点集中の原則」を、再度、掲載しておこう。
〈一度に1つの作業に集中して、生産性を上げる〉
心配無用。あなたには十分に時間がある。
問題は、どんな時間の使い方をするか、だ。
さあ、外にでよう。そして、この美しい1日を楽しもう……一度に一筋ずつ光線を浴びながら。――『一点集中術』より
内面の充実が顔に出る
イライラややる気低下の原因は、マルチタスクで心と頭が散らかっているせいかもしれないと著者は言います。
歳をとって老けこんで見えてしまう人というのは、まさにそんな感じで時間に追われ続けて、余裕のなさが表情に刻まれてしまったのかもしれません。
逆に、いつまでも若々しさを保っている人たちは、「いまここ」に意識を集中させて、日常にある小さな美しさや心地よさを五感で味わいながら、自分のペースを守って生きている。そうした内面の充実が、自然と外見や雰囲気にもにじみ出てくるのかと思います。
結局のところ、自分の人生や時間というものをどれだけ大切にしてきたかが、その人の若さを決めているんだと思います。「何を選び、どう時間を使うか」。その選択を人まかせにせず、自分の手に取り戻すこと。それこそが、年齢に縛られず、若々しくあり続ける人に共通することなのではないでしょうか。
(本記事は、デボラ・ザック著『一点集中術━━限られた時間で次々とやりたいことを実現できる』の翻訳者インタビューです)









