メガバンクが「法人融資の業務純益を3倍以上」に押し上げたセグメンテーション戦略、地銀も活用すべき“説明変数”の見極め方写真はイメージです Photo:PIXTA
*本記事はきんざいOnlineからの転載です。

明確な目的意識を持ちセグメントを切り分けよ

 今回は、顧客へ効果的にアプローチするための「セグメンテーション」を取り上げたい。グループ分けは古くからあるマーケティングの概念だが、有効に活用できている地方銀行は少ない。

 よく見られるのは、信用リスクの高低や売上げ規模の大小で法人融資先を分類する手法だ。多くの銀行がこの手法を採るため、他行と同じ目線で市場を見ることになり、結果として競合先と同じ戦い方しかできない。

 また、地域・性別・年代で個人顧客を分類しているケースも見られるが、それが意味を持つのは、分けたセグメントが市場シェアや認知率の違いにおいて「差」を持つときのみである。言い換えれば、セグメンテーションの目的とは、「顧客の金融行動とその結果の差を説明するかたまり(=セグメント)」を見つけることにある。

 そのためには、自社にとって重要な差が生じるセグメントの軸(説明変数)を特定する必要がある。「顧客が商品やサービスを認知し、購入に至るまでの一連のプロセス(カスタマージャーニー)の差」「自行・他行の使い分けの差」「自行のシェアやロイヤルティーの差」などが浮き彫りになるように、セグメントを切り分けたい。