1つの結論を導き出すために紐づく根拠がだいたい3つくらい、さらにそれぞれの根拠を支える要素となる事象(具体例)が1つか2つずつ。

 これが「ロジカルな伝え方」に欠かせない基本のフォーマットです。事象→根拠→結論と、下から上へと積み上げる形がピラミッドに似た構造(ストラクチャー)なので、「ピラミッドストラクチャー」と呼ばれています。

 コンサルタントやトップセールスを誇るビジネスパーソンといった「人を説得して、成果を出す」系のプロたちは、この思考術をまるで呼吸するように見事に使いこなしています。

 僕自身も20年ほど前、初めてコンサルタントなる人たちに出会い、その精緻な思考に裏付けられたプレゼンテーションに圧倒されたときの衝撃は忘れられません。

 鮮やかなロジックに目からウロコがぽろぽろこぼれて「いったいどうやって???」と思わず聞いてみたところ、プロたちはスマートに答えてくれました。「私たちはこの1枚のピラミッドストラクチャーを完成させるために3ヶ月くらいかけるんですよ。それが仕事です」。

 再び衝撃でした。さ、3ヶ月!?

 何に時間をかけているのかというと、ピラミッドの底辺=事象をひたすら集めているのだそうです。

 先入観を捨て、クライアントの課題に関連する分野で起きている事象をとにかくたくさん集めていくのだと。

 ためにためた事象を抽象化して共通項を見つけ、その共通項をもとにした根拠をいくつか揃えて、1つの結論を導き出す。

 すげーー!

 これが「プロの思考術」か、とうなりました。

鍛錬不足の“思考のアマチュア”は
どうしたらいいのか?

 一方で、世の中の大多数の人は(僕も含めて)“思考のアマチュア”です。

 アマチュアはスッキリ頭になれないのか?というと、「そうでもないですよ」と今の僕は明言できます。

 思考の鍛練を積んだプロたちは、時間をかけて精緻なピラミッドストラクチャーを練り込んでいきますが、僕たちアマチュアの思考はもっとラフに始めたっていい。いや、むしろラフに始めたほうが、自由な発想が開花しやすいはずです。