例えば、卵子凍結の普及と少子化は関係がないことはさまざまな国で証明されつつある。

 わかりやすいのはスペインだ。かの国は他国に先駆けて、この分野の包括的な法整備が進んだことで、多くの国では禁止される「卵子提供」も認められている。そのため生殖補助医療の普及も進んで、アメリカなどと比べてかなり安価で、高品質な卵子凍結ができることが知られている。

 では、そんな「卵子凍結大国」だからといって、子どもがたくさん産まれているのかというと、そんなことはない。合計特殊出生率は1.12と欧州主要国でもっとも低く、日本の1.15とほぼ同じで両国は「超低出生率」というカテゴリーに入る(11月23日 日本経済新聞)。

 卵子凍結が安価に選択できるスペインと、最近ようやく自治体や福利厚生での補助が始まった日本の出生率が下げ止まっているということは、「卵子凍結」は少子化対策として効果が期待しにくいということである。

 これは「女性活躍」にも当てはまる。WEF(世界経済フォーラム)の男女平等の実現度合いを数値にした「ジェンダー・ギャップ指数」によれば、日本の順位は調査対象148カ国中118位で中国や韓国よりも低い。

 このあまりの男女格差っぷりに「女性が働きにくい」とか「男が家事をしないから」というもっともらしい理由が並べられることが多い。だが、そのような問題はどこの国でも多かれ少なかれ存在しているが、ちゃんと女性が男性並みに活躍している。

 では、一体何が日本社会の問題なのかというと、各国の状況を俯瞰(ふかん)して分析しているOECDからちゃんと指摘されている。

《ジェンダー・ギャップに関する OECD ダッシュボードによると、日本の男女間賃金格差は2022年の21.3%から2023年の22%へとわずかに拡大した。一方、OECD平均は11%程度で安定している。その結果、日本の男女間賃金格差はOECDに加盟する36カ国中35位となっている》

 世界的に見ても、日本の女性は男性に比べて圧倒的に低賃金で働いている。国税庁の2024年分の「民間給与実態統計調査」によれば、男性の平均給与は587万円に対して、女性が333万円しかない。これが日本の男女格差の「元凶」である。