筋肉が衰えてしまうと
日常生活もままならない

 つまずくことが増えたり、歩いていてふらついたり、立ち上がるとき必ず何かをつかんだりするようになったら、その原因のひとつは筋肉の衰えです。

 筋肉は、特別に意識して運動や食事をしないかぎり、通常は加齢に伴い減少します。それ以外にも病気などによって筋肉量が減る場合があります。加齢や病気によって筋肉量が減り、日常生活に支障をきたすほど筋力が低下した状態をサルコペニア(筋肉減少症)といいます。

 サルコペニアが進行すると、立ったり座ったり、歩いたり、階段の上り下りをするといった、日常生活を送るうえで切っても切り離せない運動や習慣などに不便を感じることが多くなります。そのまま放っておくと、要介護状態になってしまうこともあるので注意が必要です。

 単なる筋力不足と考えるのではなく、「体が弱っている」という危機感をもって、サルコペニアの予防、改善に取り組みましょう。

図表:指輪っかテストでサルコペニアかどうかをセルフチェック同書より転載 拡大画像表示

加齢によって減る遅筋は
有酸素運動で鍛え直す

 歳をとると筋肉が衰えてくるのは、以下の5つの要因があります。

1.筋肉の合成能力の低下

 若い頃は、筋肉の合成と分解のバランスが保たれていますが、加齢とともに筋肉を合成する能力が徐々に落ちていきます。これは、筋肉細胞内のたんぱく質合成に関わるさまざまな機能が衰えることが原因と考えられています。

 また、筋肉の成長を促す成長ホルモンやテストステロンといったホルモンの分泌量も加齢とともに減少するので、筋肉が作られにくくなります。