2.筋肉を構成する筋線維の減少と萎縮

 加齢とともに筋肉を構成する筋線維の数が減り、残った筋線維も細くなります。特に、速筋線維(Type2筋線維)と呼ばれる、瞬発力や強い力を発揮する筋肉が著しく減少するといわれています。

 一方、遅筋は持久力を発揮するときに使われる筋肉で、いくら使ってもほとんど太くなりません。ただ、加齢に伴い減っていく筋肉量の大部分は遅筋なので、有酸素運動などで鍛えることが大切です。

図表:速筋と遅筋の違い同書より転載 拡大画像表示

3.運動不足

 年齢を重ねると、体力や活動意欲の低下から、どうしても運動量が減りがちになります。筋肉は、使われないと少しずつ萎縮していく性質があるので、運動不足は筋肉量の減少を加速させます。

4.栄養摂取量の低下と質の変化

 高齢になると、食欲不振や消化吸収能力の低下などにより、食事量が減ることがあります。特に、筋肉の材料となるたんぱく質の摂取量が不足すると、筋肉の合成が十分に行われず、筋肉量の減少につながります。

5.病気やその他の要因

 糖尿病や慢性炎症性疾患などの病気は、筋肉の分解を促進したり、合成を阻害したりする可能性があります。また、特定の薬の副作用によって筋肉量が減少することもあります。

 これらの要因が複合的に作用することで、歳をとると筋肉は少しずつ衰えていくと考えられています。

握力の強さを見れば
全身の筋肉量までわかる

 人間は5本の指を複雑に動かすことができるように進化したため、指を握るために使う筋肉はとても細い筋肉でできています。そのため、握力を鍛えようとしてその筋肉に「筋トレ」を行っても、効果が出にくいとされています。