クリエイティビティは
「能力」か「性格」か
彼らは、まず「北米でもっともクリエイティブな建築家を選ぶ基準を決める」という難しい仕事に取り組み、シンプルかつ厳格な3つの基準を決定しました。「斬新かつ革新的な建築物を設計してきたこと」「それらを発想だけではなく実際に行動に移したこと」「これらの作品によって建築分野の新しい基準を打ち立ててきたこと」です。
IPARは建築分野の専門家に、この3つの基準に従ったクリエイティブな建築家の選定を依頼し、40人の建築家を選びました。
この集団だけが研究対象だったのなら、この建築家たちに共通する特徴として、その有能さや、大都市圏で生活している比率の高さ、建築家コミュニティとの結びつきの深さなどを明らかにするに留まったでしょう。IPARの研究が優れていたのは、これらのクリエイティブな集団と同じ会社や都市で働いていた、非クリエイティブな建築家を対照群に設定したことでした。
IPARは週末にクリエイティブな建築家を10人単位で研究所に招き、評価を実施しました。建築家たちは近くのホテルに滞在しましたが、それ以外の時間はずっと心理学者による評価の被験者として、各種のインタビューや検査、パフォーマンス測定用のタスクを行い続けました。
また、検査やタスクの合間の昼食時の行動や他者とのコミュニケーションの様子も、観察の対象になりました。タスクは意図的に難しいものにして、プレッシャーのかかる状況下での実行能力を評価できるようにしていました。
クリエイティビティを評価するのは簡単ではありません。クリエイティブな人が、必ずしも実験の場でクリエイティビティを発揮したいと思うとは限らないからです。とはいえ、期待通りにIPARでの実験に身を任せ、その体験を楽しんでくれる被験者もいました。
この研究は、他の集団でも行われました。このため、これ以降「クリエイティブな人」と言及した場合、ジャンルを問わないさまざまな人々を対象にしていると考えてください。







