ほとんどの学生は、スタートアップの成功実績がある起業家のほうが好ましいと答える。

 だが現実には、ほとんどのスタートアップが、起業から2年以内に倒産する。したがって投資家としては、この先直面するであろう壁を乗り越えるための気概と経験のある起業家を支援したいはずだ。

 幸運にもスタートアップを成功させた人は、試練を克服した経験がまだない。だが、失敗しても気を取り直し、立ち上がって何度もトライする人は、逆境に負けないレジリエンスを持っていることがわかる。

 VCの出資を受けて失敗した起業家が、その後のキャリアで成功することが多いのは、このためだろう(注10)。

失敗談を書き出すことで
また前を向く勇気をもらえる

 失敗からは、ポジティブな教訓を学ぶことができる。次のエクササイズをやってほしい。

『LIFE UNIVERSITY もし大学教授がよい人生を教えたら』書影『LIFE UNIVERSITY もし大学教授がよい人生を教えたら』(ブルース・フッド著、櫻井祐子訳、サンマーク出版)

 あなたがこれまでに失敗した経験を書き出そう。試験や事業、人間関係など、何でもいい。誰だって失敗することはある。

 面接官が過去の失敗経験について質問することが多いのは、候補者の謙虚さやレジリエンス、学習能力に関する、重要な情報が得られるからだ。

 次に、あなたがその失敗から得たよいことを書き出そう。たとえば挫折したおかげで別のチャンスが見つかった、違うキャリアを歩むことになった、今のパートナーに出会ったなど、失敗しなければ得られなかったことを書くのだ。

 このエクササイズは、逆境を乗り越える力があなたにあること、そして時間がすべてを解決することを教えてくれる。

 また、失敗にうちひしがれていた時には欠けていた、長期的な視点も得ることができる。

(注10)Amornsiripanitch, N., Gompiners, P., Hu, G. et al. (2022), ‘Failing just fine: assessing careers of venture capital-backed entrepreneurs via a non-wage measure’, working paper 30179, National Bureau of Economic Research, doi 10.3386/w30179 (アクセス確認:2023年9月26日)