教育熱心な中国人の移住で
不動産価格は高騰の一途

 だが、現場の混乱はなお続いている。小学校から日本の義務教育の環境に飛び込もうとする中国からの「波」が止まらないからだ。

 エスカレートしつつもあり、もはや文京区だけの問題にとどまらなくなっている。中国SNS上では、港区や新宿区、世田谷区など東京都心の他の区についても、「名門小学校」がリストアップされ、その学区の地図と不動産情報とが紐付けられる形で、日本への移住関連情報が日々飛び交う状況にある。

 昨今の都心のマンション価格の上昇は、こうした点が背景の1つにはある。

図表:東京23区の在留中国人の分布同書より転載 拡大画像表示

「中国人の教育熱は、本当にすさまじいものがあります。この勢いは当面収まりそうにありません」

 埼玉県のある中国人専門の移住コンサルタントはそう語り、記者はさらにその奥深くへと、調べを進めることにした。

小3で「SAPIX」に入学させたい
1年間日本語の勉強をして準備

「子供が小学2年生になったら、日本に行くつもりです。1年間は日本語の勉強をさせ、小学3年生になったら、SAPIX(サピックス)に入塾させたいけれど、それでも(中学受験に)間に合いますか?」

「これはSAPIXの入塾テストの過去問です。ダウンロードして使ってください」

 難関中学を目指す大手受験塾として知られる「SAPIX小学部」(東京都渋谷区)。中国SNSの「小紅書(RED)」上ではやはり、SAPIX関連の情報が日々飛び交っている。

 文京区にあるSAPIXの「茗荷谷校」、高級タワーマンションが集まる江東区の「豊洲校」では既に10人に1人が中国人小学生となった。