お笑いトリオ「パンサー」の
向井慧も卒業生

　文化人に移ろう。

　音楽では、中国古楽器の秦琴（しんきん）の日本唯一の奏者である深草アキが、卒業生だ。作曲家でもあり、オリジナル作品を生み出すとともに、NHKドラマ『蔵』の音楽を担当した。

　河原美由紀はゴスペル歌手で、60歳以上のメンバーからなるゴスペルグループを一般社団法人として立ち上げた。

　ジャズギタリストの安藤正容、アルゼンチンタンゴのプロダンサー・古瀬陽子、チェロ奏者の野村友紀らも、OB・OGだ。

　芸能人では、脇役として定評があった武藤章生（1995年死去）、お笑いトリオ「パンサー」の向井慧（さとし）がOBだ。

　美術では、ジュエリーデザイナーの水谷奈央がいる。東京芸大工芸科大学院修士課程で彫金を学び、在学中からいくつかの大賞を受賞している。

　中野日和（ひわ）は、日本画調の油絵を得意とする女性画家だ。村瀬都思と増本寛子は、瑞陵同期卒の画家だ。

　瑞陵高校は文武両道を標榜（ひょうぼう）しており、部活動が活発だ。

　硬式野球部は旧制五中設立の2年後に創立され、甲子園の全国大会に1949年夏，50年の春夏に出場している。ラグビー部は07年の愛知県高校総体で準優勝している。

　陸上競技部が強い。インターハイに毎年、出場している。100メートル走で9秒台の達成をめざす本郷沙樹（たじゅ）という有力選手がいる。立命館大―名古屋大大学院教育発達科学研究科と進んだ。オノテック所属を経て、2025年からプロになった。

　22年には自己ベストの10秒12を出しており、28年ロサンゼルス五輪の日本代表を目指している。本郷は1999年3月生まれで、父はガーナ出身だ。

　三段跳び選手の村木征人（ゆきと）は、1968年のメキシコシティー五輪、72年のミュンヘン五輪に出場した。瑞陵高校を経て東京教育大体育学部卒だ。

　女子走り高跳びの今井美希は、2000年のシドニー五輪に出場した。01年のスーパー陸上では、1メートル96の日本記録を樹立した。中京女子大（現至学館大）卒だ。

　ショートトラック・スピードスケート選手の河合季信（としのぶ）は、92年フランス・アルベールビル冬季五輪の5000メートルリレーに出場し、銅メダルを取った。瑞陵高校2年の時に世界選手権で個人総合優勝を遂げている。筑波大に進学し、現在は同大准教授だ。

　山田道美（みちよし）は、昭和時代の将棋棋士（九段）だった。1967年の第10期棋聖戦で大山康晴（名人、王将）を下し、初タイトルを獲得したが、70年に36歳で急死した。山田は愛知五中を中退した。（敬称略）

（フリージャーナリスト　猪熊建夫）