時が止まったかのような
駅舎、プラットホーム、待合室

 国道に戻って少し進めば中居駅跡で、ホーム上には待合室も残っている。防犯を考えて建物類はすぐ撤去されるのが常だが、能登線ではこの先の区間でも多くの駅舎や待合室が残っていた。

 廃止から12年あまり(取材当時)、草刈りしてレールを敷けばすぐにでも復活できそうな雰囲気である。待合室を覗くとさすがに時計は止まっていて、その隣をツタが這い上がっていた。

中居駅跡中居駅跡。プラットホームはもちろん、待合室も残っている(同書より転載)。

 比良駅跡あたりから国道とは離れ、並行道路がなくなるので海沿いに出る。能登島との間に挟まれた七尾北湾沿いは波静かで交通量も格段に少なく、ゆっくり走れるのはありがたい。藪の中で近づけない鹿波駅跡はスルーして海沿いの曽良という漁村を通る。芭蕉と「奥の細道」に同行した門人の名と同じだが、静かな小さな浦であった。

鹿波駅跡の近くにある橋台鹿波駅跡近くにある橋台。安全上の理由で、この架道橋の橋桁は撤去された(同書より転載)。

 ほどなく甲駅跡で、現役時代は穴水駅を出て次の急行停車駅である。ブロック積みの駅舎が残っており、修繕すればまだ使えそうだ。

甲駅跡の駅舎甲駅跡の駅舎。急行停車駅だった甲駅。頑丈そうなブロック建ての駅舎が残る(同書より転載)。

 待合室内は切符の自動販売機から観光ポスターまでそのままで、なぜか室内に掲げられっ放しの日の丸が寂しい。