ここからしばらくは海を俯瞰しながら走るので、きっと気持ちの良い車窓風景だったのだろう。私はついにこの線は乗り損ねてしまったので、今は想像するのみだ。
波並駅跡。廃止後に、駅名標が新しく塗り替えられた。ホームもきれいに保存されている(同書より転載)。
海辺を走る路線には
「波」のつく駅名が7つもあった
波並駅跡の手前で思わず車を停めたのが三波簡易郵便局。年季の入った下見板張りに瓦葺き、いかにも戦前の建物だが、日本郵政の広告に登場したこともあるという。道草を喰いながらの廃線旅行はこんな余録が嬉しい。
三波簡易郵便局。木造で歴史を感じる。すぐ目の前には海が広がる(同書より転載)。
郵便局名はかつての自治体名をそのまま掲げていることが多いが、三波はかつての鳳至郡三波村で、矢波、波並、藤波と続く駅名の通り、波のつくこの3村が明治22(1889)年の町村制を機に合併したことに由来する。明治の大合併ではよくあるパターンである。
今は三波という地名は存在せず、能登町矢波、能登町波並、能登町藤波という。波並駅跡のホームは海を間近に見下ろす所で、駅名標は廃止後に新しく塗り替えられ、「石川県鳳至郡三波村」という旧所在地名が記されている。草刈りもしてあった。
それにしても「波」のつく駅が目立つが、数えてみると能登線の全線で鹿波、沖波、前波、矢波、波並、藤波、松波と合計7つもあった。
『ぶらり鉄道廃線跡を歩く』(今尾恵介、PHP研究所)







