ドイツのレストランでは、ウェイターが1組のお客さんの注文を受け終わったタイミングで「こちらも注文お願いします」と頼んだとしても、だいたいスルーされます。
オーダーを厨房に届けたり、飲み物をつくったり、最初のお客さんのための仕事が終わってから、次の注文を受けに来ます。
それくらい単純なことでも、マルチタスクを避ける傾向にあるのです。
タスクを同時にやれば時間が短縮できると日本人は考えますが、ドイツ人はそれで働く側のミスが増えたり、パフォーマンスが下がったりするリスクを懸念します。
それだけ、自分のキャパをしっかり把握しているともいえます。
自分がつらくなる範囲を超えて動いていると、「自分はこんなに頑張っているのに」という意識も生まれてきます。
それを相手が見ていないと、「私はこんなにやっているのに」「どうして自分だけ」というマイナスな感情につながりかねません。これでは自分のやりたいことに費やす時間は一向につくれなくなります。
自分のキャパを把握して、それを超えないようにすること。そうすることで、ゆとりを持った状態で自分の時間を使うことができるようになります。
終わりの時間にルーズな人は
ドイツでは評価されない
時間は自分の命です。ドイツ人はそのことをよく理解しているため、時間は有限であるという前提で行動をしています。
「時間は限られている」というドイツ人の認識がよく表れている体験を紹介します。
私は仕事で、セミナーの登壇者として招かれることがあります。その際に、講演時間が20分と決められていたら「絶対に20分を守ってください」と、司会者に念を押されます。
20分が割り振られた設計で、他の登壇者の講演や、スケジュールが組まれているので、時間超過は非常に困るということです。
ドイツでは、製品や商品には、それほど完璧を求めないけれど、終わりの時間に対してルーズであるのはいけないとされています。
しかし、「人の話は最後まで聞く」「発言の間は邪魔をしない」のが礼儀なので、時間を過ぎて話していてもストップされることはありません。







