認知度が低すぎて広がらない
自治体の「健康ポイント制度」
国内の自治体も健康ポイント制度を導入しているが、結果は芳しくない。東京都特別区の平均参加率はわずか6.8%。若年層に至っては認知度が28.3%しかない。
なぜ失敗するのか。理由は3つある。
インセンティブがショボい。年間数千円程度の商品券では行動は変わらない。
システムがバラバラ。自治体ごとに異なるアプリ、引っ越したら使えない。
デジタルデバイドを無視。スマホを使えない高齢者は最初から排除している。
大阪府の「アスマイル」は例外的な成功事例だ。登録時にQUOカードPay300円分(先着3万3333人)をプレゼントしたところ、登録者数が3.5万人から9.3万人に急増した。最終的に27.2万人が参加している。
つまり、適切なインセンティブ設計さえできれば、人は動くのだ。
「健康データをマイナポータルに連携するなんて、プライバシーが心配」
こういう声は必ず出てくる。でも考えてみてほしい。あなたのスマホには、すでにあらゆる行動データが記録されている。GoogleやAppleは、あなたの移動履歴も検索履歴も把握している。LINEには健康相談の内容まで残っているかもしれない。
それなのに、なぜ国が管理するマイナポータルだけを恐れるのか。
もちろん、セキュリティは最重要だ。でも、それを理由に健康増進の機会を逃すのは本末転倒だろう。エストニアを見てみよう。国民の99%の健康データがデジタル化されているが、国民からの信頼は厚い。透明性の高い運用と、強固なセキュリティがあれば実現可能なのだ。
「財源はどうするんだ」という批判も聞こえてくる。
シンプルに考えよう。健康ポイント事業を3年以上実施している自治体では、参加者の年間医療費が非参加者より平均5.8%(約2.4万円)低い。仮に1000万人が参加すれば、年間2400億円の医療費削減になる。
初期投資は必要だ。でも、それは将来への投資だ。病気になってから何百万円もかけて治療するより、予防に投資する方が合理的だろう。
民間企業との連携も考えられる。フィットネス業界、保険会社、ヘルスケア企業は、このプラットフォームに参加することで新たなビジネスチャンスを得られる。Win-Winの関係を作ればいい。







