なぜ今なのか。理由は明確だ。
第一に、技術的基盤が整った。マイナポータル、ウェアラブル・デバイス、API連携技術。10年前なら不可能だったことが、今なら実現できる。
第二に、コロナで健康意識が変わった。多くの人が、健康の大切さを実感した。このモメンタムを逃してはいけない。
第三に、他国に後れを取っている。シンガポール、エストニア、さらには中国まで、デジタルヘルスで先行している。日本が「課題先進国」から「課題解決先進国」になるチャンスだ。
これだけ理由が揃っていても、この提案に対しては、いろいろな批判や懸念が出てくるだろう。
「高齢者はスマホを使えない」「地方にはジムがない」「プライバシーが心配」「財源が足りない」「不正利用される」
確かに課題はある。でも、それは解決すればいいだけの話だ。高齢者向けには、公共施設に共用端末を設置すればいい。地方では、ウォーキングや農作業もポイント対象にすればいい。セキュリティは最新技術で確保し、不正はAIで検知する。財源には医療費削減分を充てる。
完璧を求めて何もしないより、不完全でも始めることが重要だ。
健康寿命を延ばすことは
大きなメリットをもたらす
最後に言いたいのは、健康は個人の選択だということだ。
『日本医療再生計画 国民医療費50兆円時代の提言22』(堀江貴文、幻冬舎新書)
国がインセンティブを用意しても、最終的に行動するのはあなた自身だ。毎日の小さな選択の積み重ねが、10年後、20年後の健康状態を決める。
マイナポータル健康行動ポイント制度は、その選択を後押しするツールにすぎない。でも、強力なツールだ。使うか使わないかは、あなた次第だ。
私は、日本人全員が健康で活動的な生活を送れる社会を作りたい。そのためのテクノロジーも、インフラも、データもある。足りないのは、実行する勇気だけだ。
政府がやらないなら、民間主導でもいい。まずは小さく始めて、成功事例を作り、横展開していく。それがイノベーションの基本だろう。
健康寿命を延ばすことは、個人の幸福だけでなく、社会全体の持続可能性にも直結する。これ以上、何を待つ必要があるだろうか。
今こそ、行動する時だ。







