トキの様子がおかしいことを心配する松野家
翌朝、ぐっすり眠って、いい目覚めをするトキ。
「布団、布団」と布団をギューッと抱きしめてにやけているものだから、松野家一同は訝(いぶか)しげな顔をしている。
「昨日はなして遅かった?」と父として聞く司之介(岡部たかし)。
スルーしようとするトキに、フミ(池脇千鶴)は「聞いて」「やっぱり聞かんで」「やっぱり聞いて」と司之介をたきつける。
明らかにへんなことを想像している3人に怪談を聞かせていたとトキは報告する。
「それはほんとか?」と真剣な司之介。体がどうもないか確認するようにトキの両肩をつかむ。まだ洋妾にされないか心配されているのかもしれない。
トキにはなんの後ろめたいことはないので、昨日の出来事を一部始終説明する。
「よし信じる」と勘右衛門(小日向文世)を皮切りに、司之介もフミも信じると言う。
「怪談だったら機嫌ようなるのもわかる」とフミ。怪談を話せる相手が現れたことをフミは喜ぶ。心配したり喜んだり、どちらも母の愛情である。
それにしても布団を抱きしめる奇行は司之介たちを心配させたのだ。
『鳥取の布団』は脚本家的にはなかなか汎用性(はんようせい)の高い怪談だったのではないだろうか。ちなみに、ごうつくばりの借金取り(大家)やお祓(はら)いの御経をあげてくれる住職も出てきて、そのために銭太郎(前原瑞樹)や住職(伊武雅刀)を出したのかと考えるとよくできた脚本である。
トキは元気に出勤する。途中でサワ(円井わん)ともすれ違うが、彼女も驚くほどの溌剌(はつらつ)さだ。
ヘブン宅につくと、ヘブンが迎えに出てきた。
「昨日ありがとうございました」
「こちらこそありがとうございました」
「どうぞ」
「どうぞ失礼いたします」
はじめてでもないのにいつものと違う、へんに初々しいふたり。
タイトルバックのようなふたりになる日も近い?









