「それもまたメリーさんの不興を買うことに繋がったんですか?」
「母は次第に元夫が会社を乗っ取ろうとしていると言い始めました」
「メリーさんは本気でそういう捉え方をしていたんですか?」
「していたと思います」
「その結果として『備忘録』にある『(ジャニーから)内容証明が届く』に至るわけですね。差出人はジャニーさんなんですね?メリーさんではなく」
「そうでした」
もういっさいあなたには
僕の会社に触ってほしくない
「なんとなく僕が想像するジャニーさんという人は、作品のことだけに関心があって、こういったことに興味はなさそうな気がするのですが」
「なので、それも『備忘録』に記しましたが、ジャニーの名前を使ってメリーがやっていることが明白だったんです。ジャニーという人は『内容証明』が何なのかもたぶんわかっていない。そんな人間が自分で書いて、送るわけがないんです。でも、メリーは自分が犯人にはなりたくないから『ジャニーが怒ってる』ということにした。近しい人はみんなわかっていたことです」
「実際にジャニーさんはこの件をどう捉えていたと思いますか?」
「ジャニーが知ることは大半がメリーから吹き込まれる話でしたので。何がどうメリーから伝わっているか次第です。メリーが『ギャッ!』と怒ったら、ジャニーは『ああ、そうなの、そうなの。それはおかしいね』みたいな感じで受け止める。想像するに、メリーが『あんたの名前で内容証明を送っとくからね!』と声を荒らげて、ジャニーが『うん。そうしておいて』と言ったんじゃないかと」
「内容証明にはどんなことが書かれていたんですか?」
「『僕が一生懸命作ってきた会社を、どんどん違う形にしようとしている。もういっさい、あなたたちには僕の会社に触ってほしくない』みたいな感じでした。あ、『あなたたち』じゃなかったですね。そこにあったのは元夫の名前のみでした」
「内容証明は元ご主人宛てなんですね。それはインパクトがありますね。この件って世の中的にはニュースになっているんですか?」
「全然。ひっそりと」







