ジャニーズ事務所(現SMILE-UP)Photo:PIXTA

数々の問題が白日の下に晒され、解散へと追い込まれた旧ジャニーズ事務所。元社長である藤島ジュリー景子氏は2007年頃、不健全な経営体質を問題視し、会社改革を試みたことがある。しかし、その行動が当時の実質的なトップ・メリー喜多川氏の逆鱗に触れてしまった。いったい何がメリー氏を怒らせたのか?ジャニーズ事務所の元社長・藤島ジュリー景子氏に、小説家の早見和真氏がインタビューし、そのやりとりを一問一答形式で構成。本記事は、早見氏の質問から始まっている。※本稿は、小説家の早見和真『ラストインタビュー 藤島ジュリー景子との47時間』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。

ジャニーズ事務所では
メリーの承認が全てだった

「同じく『備忘録』(※編集部注/インタビュー前にジュリー氏が資料として早見氏に渡していたメモ)にある『当時はメリーの承認が全て。事務所に法務はなく、経理が決裁事項を上げていたが、メリーがサインすればOK。逆にメリーがサインしなければ全てストップしていた』というのはどういう意味ですか?」

「ジャニーズ事務所には普通の会社のような稟議(りんぎ)書とか、取締役会での承認みたいなことがなかったんです。あったのはメリーに命じられて経理が作る『誰それが部長になります』とか『誰それが取締役になります』といった紙きれだけ。それにメリーがサインしたらすべて決まるということです」

「元ご主人の給料なんかも、メリーさんが独断で決めていたんですか?」

「相談役の小杉さんと話くらいはしていたのかもしれませんが、基本的には」