ジャニーズ性加害問題を拡散した「3種のファン」と「2つの政治クラスタ」Photo:PIXTA

2023年に日本中を騒がせた、旧ジャニーズ事務所社長のジャニー喜多川による所属タレントへの性加害問題。この問題に最初に飛びついて拡散させた人々は、普段は政治の話ばかりを投稿しているクラスタだということをご存知だろうか。過激な意見を持つ集団はなぜ生まれるのか、X(旧Twitter)のデータ分析を通して彼らの実態に迫る。※本稿は谷原つかさ『「ネット世論」の社会学 データ分析が解き明かす「偏り」の正体』(NHK出版)の一部を抜粋・編集したものです。

ジャニーズ性加害問題についての
投稿は248万件に及んでいた

 筆者の研究チームが行ったジャニーズ性加害問題に関するXのデータ分析の概要を紹介します。

 Xのデータ収集は、XのSearch APIを使用して行いました。検索語は「ジャニーズ」「ジャニー」「ジャニ」「#ジャニーズ」です。データ集計の期間は、2023年3月1日から2023年8月31日まででした。この期間に、約1450万件のポストという膨大な投稿がなされました。そのうち1130万件がリポスト(77.5%)でした。

 Xのデータについては、全ての投稿を手作業で分類することは現実的ではありませんでしたので、キーワードベースで分類を行いました。詳細は省略しますが、「性加害」に関連する単語を含む投稿を性加害関連の投稿として分類しました。その結果、性加害に関連する投稿は約248万件(ジャニーズに関連する投稿の約17.1%)でした。また、ユーザ数は45万6645人でした。

 Xユーザの反応を見ていきましょう。我々はまず、ユーザの分類を試みました。ユーザの分類には様々な方法があるのですが、今回はネットワーククラスタリングという方法を用いました。

 具体的には、あるユーザAがユーザBの投稿をリポストしたら線でつなぎ(この場合のユーザをノード、線をエッジといいます)、最も多くの人が互いにつながっているグループを抽出して可視化します。