“敵味方思考”の
典型的な特徴とは?
若手面接官には、学生時代の苦い記憶があった。
アルバイト先の飲食店で、店長が完全な“敵味方思考”だったのだ。
店長は、上司であるスーパーバイザーや俗にいう“太客”には丁寧すぎるほどの対応をしながら、一方で、若いアルバイト店員を理不尽に怒鳴りつけたり、ミスを必要以上に責めたりしていた。
店長は
・ 自分に従う者=味方
・ 自分に口答えする者=敵
・ ミスは人格否定して非難、トラブルは犯人捜しをすべき
というように考え、行動していたのだ。
怒声、威圧、無視など、理不尽な扱いを受けたことで、若手面接官は、「支配的な人の特徴」を直感で掴めるようになっていた。
「支配したい人は、場面に応じて言葉では優しく取り繕える」――そのことを嫌というほど学んだ。彼は、面接中のこのホテルマンに、あの店長と同じ匂いを感じたのだ。
違和感を覚えた若手面接官は、最後に、ある質問を静かに投げかけた。
若手面接官が放った
「魔法の質問」とは?
写真はイメージです Photo:PIXTA
それは、「価値観の死角を覗く」質問だった。
「最近、誰かに“ありがとう”と言った出来事はありますか? どんな相手に、どんな理由で伝えたのでしょう?」
一見、雑談のような、柔らかい質問だ。職場でも職場以外でも良いと、広く問いかけたので回答しやすいはずのもの。
だが、この穏やかな質問は、心理学的には、回答する側の人間関係の階層認識や共感性の有無が露骨に出る問いかけなのだ。







