あえて、ヒエラルキーを強調せず
なくしてみる
本田 メインの教室を見てびっくりしたのですが、既存の教室のようなセッティングが何もされていないのですね?
サラ 大事なことは、フレキシブルにいろんなことができることです。チームごとにテーブルを持ってきてディスカッションをしてもいい。ホワイトボードを使ってもいい。すべて簡単に動かせるようになっている。常にリセットできて、違うセッティングができるようになっているんです。
本田 空間の作り方にもこだわりがあるんですね。
サラ もうひとつ大切なのは、ヒエラルキーがないことなんです。誰か一人がエキスパートで、あとは、そのエキスパートから教えてもらっている、といった関係では大胆なことはできません。誰か一人が立っていて、みんなが座っている状況は作らないということです。そうすることで、みんなが参加をしているという空間ができるんです。
本田 たしかにそうですね。誰かがリーダーのような形で語っていると、その意見が中心になっていく。そうすると、みんなはその人に依存し始めてしまう。依存してしまうと、みんながオーナーシップを持っているチームにはならない。だから、あえてヒエラルキーをつくらないということですよね。
誰かがヒエラルキーになった瞬間、周りはこれでいい、ということになってしまう。固定化されてしまう。リーダーをつくらないということではなく、リーダーも流動的にしてしまうということですよね。
サラ 複数でディスカッションする際のテーブルは意図的に全員のパソコンが置けない大きさにしています。4人のラップトップパソコンをここで広げようとしたら邪魔だし、パソコンなんて見ていないで、みんなで本当に話し合いをしてほしい。その代わりにホワイトボードを置いて、視覚的に考えながら議論を進めるようにしています。
本田 それぞれがパソコンに向き合うのではなく、みんなでホワイトボードを見ながら、あたらしい解決策やソリューションを考えることが、クリエイティビティにつながるんですね。それと、机がかなり高く、椅子も高いですね。
サラ 例えば、座ってノートをとって誰かが喋ってるみたいな環境を作ってしまうと、なんかもう体自体がディプレスしてしまって、抑えつけられてしまう感じがするんです。エネルギーも出てこない。けれども立って、何か遊んでるような形で体を動かしながら、みんながマーカーを持って、ホワイトボードに書き込める態勢を作るともっとアイデアが出てくるわけです。
本田 実は私も、ミーティングは立ってやっていいとずっと思っていました。実際に私のオフィスには8人くらいが立って会話しながら取り囲める特注のテーブルがあります。座るよりも立って話す、もっというと高い位置でコミュニケーションをしたほうが、活性化する気がしますね。