超富裕層が恐れる
“心の貧困”とは

 多くの富裕層には、「日常で贅沢を経験させすぎることが、子どもの未来から“幸福感”を奪ってしまう」という強い危機感があるのです。

 成長とともに、付き合う人や収入が増えていくにつれて、行ける場所や味わえる食事も自然と“上のランク”へと広がっていきます。

 そのプロセスにおいて、「自分もこんな食事ができるようになった」という実感や、「これは特別な日なんだ」という感動が、次の成長へのモチベーションとなるのです。

 ところが、幼少期から日常的に豪華な料理に囲まれていれば、どんなレストランに行っても驚きや感動を感じることができなくなってしまう。その結果、「何を食べても心が動かない」という、感性の麻痺が起きかねません。

 こうした状況こそ、超富裕層が最も恐れる“心の貧困”なのです。

 この考え方は、外食だけにとどまりません。

 専属のシェフが常駐するご家庭であっても、日々の食卓には、焼き魚、白米、みそ汁、漬物といった、極めて質素で素朴な和の家庭料理が並びます。私たちが想像するようなフレンチのフルコースや高級食材を使った料理が毎日提供されるということは、決して一般的ではありません。

 なぜなら、「日常が贅沢であること」は、長期的に見て大きな代償を伴うと理解しているからです。

 まず、先ほども述べたように、特別な体験に対する“感動の引き出し”がなくなってしまいます。豪華な料理が日常になってしまえば、年に一度の記念日の価値も半減し、家族の絆を強める機会が失われてしまうのです。

「贅沢を当たり前にしない」
子どもに対する思い

 そしてもう一つは、健康に対する強い意識です。

 超富裕層にとって健康は最大の資産であり、「食べたものが体をつくる」というシンプルな原理を極めて大切にしています。無農薬の野菜や発酵食品など、「体にいいもの」を中心にした食生活を維持することで、健康に気を使いながら資産を守り抜く土台を築いているのです。

 さらに注目すべきは、この「質素な食の習慣」が、子どもたちの未来のためでもあるという点です。