それに、1人でやるにはリスクがある。寄付について考えるには間違いなく膨大な時間がかかり、別の時間の使い方はいくらでもある。だから、多額の寄付をしようとする資金も意欲もある多くの人が傍観者になってしまうのも、何も不思議ではない。
こうして、活動する人であれ寄付者であれ、世界で最も積極的なチェンジメーカーの中に、最大の夢をあきらめる人が出てきてしまう。本当に大胆な変化を起こせる可能性が探られないままになっているのだ。
米石油王ロックフェラーのひ孫が
『より多く』求めようと語ったワケ
私たちに何ができるだろうか?
重要なことは、非営利団体も寄付者も、もっとクリエイティブに、もっと勇気を持って、もっと協力しながら関わり合っていくことだ。さまざまなやり方でそうしようとしている人も大勢いる。私が間近で目にしたストーリーの1つを紹介したい。
それは、フィランソロピーで有名なロックフェラー家の故リチャード・ロックフェラーに触発されたものだった。
私は海洋保護会議に彼を招いたことがあり、そこでの彼の言葉を決して忘れることはないだろう。
「ここに集まっている人たちの多くが、大切だと考えている問題のために資金を集める難しさに、頭を悩ませていることが明らかになってきた。資金獲得のチャンスを得られるように、プランを小さく切り詰めなければという強いプレッシャーがかかっている。
それは間違いではないかと私は思う。私の経験では、最も賢明な最良の寄付者は、何か小さなことを達成する提案では説得されない。だから私は提案したい。『より少なく』ではなく、『より多く』を求めよう。大胆になろう」
悲劇的なことに、リチャードは4年後に飛行機事故で世を去った。だから、自分の言葉がすばらしいプロジェクトの誕生のきっかけになったことを知ることは、ついになかった――そのプロジェクトとは、そう、オデイシャス・プロジェクトだ。
オデイシャス・プロジェクトには、TEDや、大胆なフィランソロピーの媒介者となるブリッジスパン・グループを筆頭に、先見の明のある財団が集まっている。







