開智学園vs佐藤栄学園、10日入試の見通し
ここからは埼玉の共学校を見ていく。埼玉では、開智学園（開智、開智所沢、開智未来）と佐藤栄学園（栄東、埼玉栄）という2つの学校法人グループ校の動向が最大の見どころとなる。
開智望のところでも触れたように、開智学園各校では入試の連携・相互判定を実施しており、一度の受験で複数校の合否判定を受けることができる。入試日程と入試内容も基本的にそろえられている。開智望と開智（一貫部）と開智所沢の受験生は、出願時に決める必要があるとはいえ、基本的にこれら3校相互の合否判定を受けることが可能である。
そのため、各入試回での競争状況を他校のように示すことが難しい面がある。受験者数と倍率については学校側の公表データを載せているものの、あくまでも参考程度に受け止めていただきたい。受験料2万円で開智学園のすべての試験を何回でも受験できる上に、複数回受験者への加点措置もある。開智学園は、中堅受験者層の囲い込みに余念がない。
2025年入試の最注目校であった開智所沢中等教育学校は、入試回ごとに変更可能ではあるが、出願時に3つのクラス（医進・国際・探究）のいずれかを選択する。そして、特待合格は特進コースへ、一般合格は本科に入学する。合否判定に関しては出願時に、以下の4つからも選択する。両方（開智第一志望）、両方（開智所沢第一志望）、開智のみ、開智所沢のみ。つまり、開智所沢の校舎で受験しても、開智（一貫部）の受験生という場合もあるわけだ。
また、開智は新たに各入試回で「一般」か「英語型」を選択できるようになった。「英語型」（募集人員は若干名）の英語はエッセイライティングで、入試回により国数英3科もしくは算英2科を受ける。対する栄東は、国内最多の受験生が集まった［A日程］を2つに分け、［B日程］と共に入試名を変更した。募集人員は男女合計で東大クラス70人（うち特待生30人）、難関大クラス100人である。
ここからは、両グループの動向を日程順に見ていこう。埼玉一般入試解禁日の10日、EからDランクに上がった開智所沢［1回］（2114人・1.9倍）は4割増と、その勢いに衰えは見られない。一方、同じくDランクの開智［1回］（2112人・1.8倍）は1割減らしている。志望者数はごく少ないFランクの開智未来［探究1］（40人・1.3倍）減少傾向にある。
男子受験生の数が女子の2倍ほどの栄東は、10日［A日程］（3439人・1.5倍）を［I（東大・難関大）］に変更したが、Bランクのこちらは前年並みで推移している。入試での合計得点上位者から3つのクラス「医学」「難関大」「進学」の順に選抜されていく埼玉栄では、［1回］はEランクの「医学」（418人・1.5倍）と「難関大」（271人・1.5倍）が1割強減と3割半増に分かれた。Fランクの［進学］（141人・1.5倍）は前年並みとなっている。
10日午後は、FからGランクに下がった開智未来［1回］（151人・1.2倍）は志望者数が2倍増と勢いがある。中位校の開智未来は上述の3校とは異なり、独自の入試設定となっている。埼玉栄［2回］は、Eランクの「医学」（423人・1.6倍）と「難関大」（242人・1.6倍）が2割弱増と1割減に分かれている。
