経理課長のサダさんは明るくて面倒見のいい人なのですが、ときどき衝動的に大きな声を出すことがあります。本人もハッとするようで、すぐに私たちに謝ってきます。ところが、ミナミさんが異動前の上司に相談したらしく、パワハラ疑惑が出ています。課長もミナミさんに対して「そんなことまでいちいち聞かないで」とか、「この間も同じことを注意したでしょう」といった感情的な対応がありました。でも、ミナミさんも何度も同じミスをしたり、勝手に書類を処分したりと問題がないわけではありません。私から見ても、課長が怒るのは当然に感じます。それでも課長は、パワハラをしたことになってしまうんでしょうか?
ミユキ(30代・女性)
ミユキ(30代・女性)
ミユキさんやミナミさんは、従業員数500名ほどの映像製作会社に勤務しています。ミナミさんは総務課の所属でしたが、簿記の資格があったため、繁忙期の経理課に異動を命じられました。ただ、実務経験はなかったので、ミユキさんら他の社員がOJTを行いました。しかし、決算期前で忙しく、行き届いたサポートはできませんでした。
ミナミさんは休職中の社員の仕事を一部引き継ぎましたが、業務理解が浅かったため、質問すべき相手がわからず、頻繁に課長に尋ねました。けれども、多忙な課長からは丁寧な指導を受けることができません。課長以下全員が忙しいことがわかったミナミさんは、やがて自己判断で仕事を進めるようになりましたが、かえって課員の確認の手間を増やしてしまうことになりました。
感情的に怒鳴られ
席を立たれて限界に
ミナミさんは一生懸命に仕事をしていましたが、課長に「子どもじゃないんだから何度も言わせないで。バカなの。何度教えたらできるようになるの」と感情的に怒鳴られ、席を立たれたことで精神的に限界を感じ、元上司である総務課長に相談しました。
すると、総務課長がハラスメントではないかと疑問視したため、ミナミさんはハラスメント相談室で相談することになりました。相談室の社内調査の結果は次の通りです。
・サダ課長がその発言をした事実はある。課内の複数の職員が現場を目撃しており、サダ課長も発言したことを認めている。
・ミナミさんに引き継がれた仕事は、商業簿記ができれば難易度が高いものではなかった。しかし、ミナミさんの理解が浅く、仕事の精度は粗かった。







