「みんながそうしているから」「正解だと言われているから」。――そんな理由でお金を使うほど、人は幸せから遠ざかっていく。そう指摘するのが、世界的ベストセラー『アート・オブ・スペンディングマネー 1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?』だ。同書は、お金の使い方こそ人生の満足度を大きく左右すると説く。では、幸せな人はどのようにお金と向き合っているのか。その核心に迫る。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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お金の問題に「唯一の正解」はない
「車は持っておくべき」「時計にはお金をかけろ」「持ち家こそ正解」――。
世の中には「こうあるべき」というお金の価値観があふれている。
しかし、こうした“一般論の正解”こそが、人を不幸にする――そう指摘するのが世界的ベストセラー『アート・オブ・スペンディングマネー』だ。
――『アート・オブ・スペンディングマネー 1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?』より
本来、幸せを決めるのは「自分が何を望むか」だ。にもかかわらず、お金のことになると、人は“他人の正解”をなぞりはじめる。その結果、満たされない、不安が消えない――そんな歪みが生じる。
「好み」は誰もが違うのに、なぜお金だけ同じ基準を求めるのか?
著者は、さらにわかりやすい例を示している。
しかし、「どんな家に住むか」「どんな服を着るか」「いつリタイアすべきか」「どれくらいの頻度で旅行に行くべきか」「どんなレストランで食事をすべきか」といった問題になると、同じ考え方ができなくなる人が多い。
――『アート・オブ・スペンディングマネー 1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?』より
食べ物の好みに「正解」はない。しかし不思議なことに、お金の使い方になると、私たちは「唯一の正解」を求めてしまう。
こうした“世間の正解”が、気づかないうちに私たちの意思決定を歪めていく。
・旅行が好きなのに、「貯金すべき」という空気に飲まれて我慢する
・家が狭くても気にならないのに、「広い家=成功」という価値観に惑わされ住宅ローンを抱える
・早期リタイアに興味がないのに、FIRE情報に振り回され不安になる
これらはすべて、“自分の価値観ではなく、世間の価値観でお金を使っている状態”である。
著者は、こうも指摘している。
――『アート・オブ・スペンディングマネー 1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?』より
つまり、お金の使い方に「正解」はなく、「自分に合ったものを選ぶ」ことが大切なのだ。
“自分の人生”を生きるために、お金の使い方を問い直す
ではどうすれば、自分に合ったお金の使い方になるのか?
ポイントはたった一つ。「これは“私”が望んでいる支出なのか?」と問い直すこと。
世間の目に合わせた支出は、どれほど使っても幸福度は上がりづらい。反対に、自分の価値観と一致した支出は、金額の大小に関係なく満足度が高い。
・カフェに毎日行くのが幸せなら、それは「正解」
・ブランド物に興味がないなら、無理に買う必要はない
・家より旅にお金を使いたい人は、それが「正しい」
すべては「その人固有の価値観」によって決まるのだ。つまり、あなたのお金の使い方の正解は、“あなた自身の中”にしかない。
今日の支出は、「周りがそう言うから」なのか、それとも「自分が本当に望んでいるから」なのか。その一つひとつを問い直すことこそが、人生の幸福度を大きく左右するのだ。
(本原稿は、『アート・オブ・スペンディングマネー 1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?』(モーガン・ハウセル著・児島修訳)に関連した書き下ろし記事です)





