「プレゼンの成功率」は発表順で変わる?行動経済学者が教える「ベストの順番」写真はイメージです Photo:PIXTA

部下は叱って伸ばすべきなのか、褒めて伸ばすべきなのか…。ビジネスの現場では、正解がないように思える疑問に日々直面する。しかし、経済学と心理学を融合した行動経済学のフィルターを通すと、最適解が浮かび上がってくる。いま注目のこの学問は、ビジネスシーンの悩みにどんな答えを示すのか?※本稿は、行動経済学専門家の相良奈美香『ポジティブアフェクトで幸せの仕組み化』(主婦の友社)の一部を抜粋・編集したものです。

仕事を頑張るためには
ポジティブアフェクトが必須

 アメリカではコロナ禍以降、ますます退職、転職する人が増加し、「仕事でハッピーでなければ、その仕事を辞めよう」という考えをもつ人が増えたと実感します。

 その傾向は日本でも感じます。終身雇用制はすでに崩壊していますが、仕事に対してやりがいなどのポジティブな感情(アフェクト)を抱くことができなければ、「ここは自分の居場所ではない」と見切りをつける若い人は日本でも確実に増えています。

 仕事において、もっとも重要なものは何かと問われたら、私は迷わず「ポジティブアフェクトです」と答えるでしょう。ポジティブな感情は思考や行動の幅を広げ、それが個人の資質も高めていきます。これを「拡張形成理論」といいます。

 会社員の場合、課せられた仕事を一生懸命にやったところで、すぐに給与が上がるわけではありません。けれどやりがいを感じれば前向きに取り組みますし、「がんばったね」とほめられると「やってよかった」と思います。そうすると、ポジティブアフェクトが生まれ、「この仕事をがんばろう」「この職場が好きだ」という気持ちが高まるのです。