一方で、「親近効果」というものもあります。連続した情報があったときには最後、つまり直前に見聞きした情報が記憶に残りやすいというものです。つまり最初と最後、この2つの印象がどうしても強くなりがちだということです。
ですから、もしも複数人でプレゼンをする場合には、最初か最後に立候補することをおすすめします。
逆に「ちょっと自信がないから、あまり目立ちたくない」「このプロジェクトは気が乗らない。やりたくないなぁ」と思うなら、中盤あたりに発表させてもらうのがいいでしょう。
なお、初頭効果の印象は時間がたっても残りますが、親近効果は時間とともに薄れてしまう傾向があります。プレゼンの直後に結果が出る場合には最後がおすすめですが、数日後に話し合って決める場合には、最後の人の記憶は薄れてしまうかもしれません。数日たっても記憶に残るのは最初の人。トップバッターを狙うのが一番です。
JTBのイベントでも
行動経済学の理論をちりばめた
先日、行動経済学の視点を取り入れたビジネスイベントを手がけました。主催は旅行会社のJTB。この会社は旅行業だけでなく年間1万件を超えるイベントも運営しており、「イベントの設計に行動経済学を取り入れたい」との依頼をいただいたのです。
行動経済学をイベントに活用する際には、「ほかのイベントよりもこのイベントに足を運ぶようにする仕掛けづくり」や、「会場内で整然と効率的に動く仕組み」が重視されがちです。しかし私は、「ポジティブアフェクトを前面に展開してはどうか」とアドバイスし、いっしょにイベント設計を進めました。
特に重視したのは初頭効果と「ピークエンドの法則」(編集部注/人はある出来事に対して、感情がもっとも高まったピークのときの印象と、最後であるエンドの印象を重視して全体的な印象を決めてしまう、という法則)です。
入り口は単に受け付けするだけの場所ではなく、「これからイベントが始まるぞ!」という高揚感を感じてもらう場と位置づけ、DJの生演奏で盛り上げ、従来のビジネスイベントのイメージを払拭(ふっしょく)しました。







