ほかにも、「53×6」の掛け算は、「(50+3)×6=50×6+3×6」と分解することで318とすぐに答えを出すことができます。これは、公式を覚えるのではなく、「こういうことができるんじゃないか」という想像力=イメージの幅を広げることでできることです。

 暗算する力とは、ただ「計算を早くやる力」ではなく、「工夫して見えやすくする力」です。

 慣れてくると、税抜5240円の商品に10%の税込価格を掛けるときにも、「5240×(1+0.1)=5240+524」のように分けて計算することができるようになります。

 ぜひこの機会にしっかりと暗算のイメージを広げる訓練を積んでほしいと思います。

「数」を目にしたら
素因数分解する癖をつける

 暗算が得意になるためには、そもそもその暗算をするための「数」をよく理解する必要があります。

 数に対する理解というのは、数の性質や構造がすぐに思い浮かぶことです。たとえば、その数の約数や倍数、素因数分解の形、ほかの数との関係などが瞬時に見える感覚。これがあるだけで、計算は驚くほどラクになります。

 まずは例題です。

[例題]
 12は何で割れますか?

 12という数字は何で割れるのか、約数は何か、という問いです。これは「1、2、3、4、6、12」となります。

「だからなんだよ」と思うかもしれませんが、実はこういう「約数の多い数」というのは計算を助けてくれる材料になるのです。

 たとえば、「5×12」を考えてみましょう。この計算は、わかる人であれば、簡単に解くことができます。12は「2×6」なので、「5×12=5×2×6」であり、「5×2=10」なのでそこに6を掛けて「60」になります。これが「5×13」だったらなかなか難しいですよね。暗算で「65」とできる人もいるでしょうが、そう簡単にはいかないと思います。

「25×12」も同様です。12は「3×4」なので、「25×12=25×4×3」であり、「25×4=100」なのでそこに3を掛けて「300」となります。これも「25×13」だったらできませんね。

 このように、「計算が早い」というのは、数に対する理解度が高い状態です。暗算ができるというのは、基本的に数に対する理解度が高い人です。そのため応用を働かせて、「5×13」は「5×12+5だから、65だな」と計算することができます。