【視神経萎縮】
 視覚情報を脳に伝える視神経が損傷し、機能が低下する。

「緑内障や視神経炎、外傷などによって視神経が損傷され、視力低下や視野狭窄が起こる疾患です。一度萎縮した視神経は、元の状態に戻すことはできません」

【白内障】
 目の中にある水晶体が濁る病気で、物がぼやけて見えたり、視界がかすんだり、光をまぶしく感じたりする。

「主に加齢が原因です。水晶体を人工の眼内レンズと入れ替える手術で、視力を回復させることができます。ただし、加齢とともにレンズが劣化して再手術が必要になるケースもあります」

 次の2つの病気は高度視機能障害には分類されないが、気をつけたい目の疾患だ。

【網膜剥離】
 網膜に裂け目ができて網膜が剥がれてしまう病気。視界に黒い点や糸くずなどのような物が見える飛蚊症が前触れになることもある。

「急に起こることもあります。網膜が剥がれると網膜が機能しなくなり、視力低下や視野欠損を引き起こして失明に至る可能性もあります」

【ぶどう膜炎】
 ぶどう膜は光の量を調節する「虹彩」、ピント機能を調節する「毛様体」、網膜に栄養を運ぶ「脈絡膜」の3つの組織の総称。これが炎症を起こす。

「感染症や免疫異常などが原因となることもありますが、原因を特定できない場合も多い疾患です。突然発症することがあります」

自覚症状がない場合が多い
3つの病気

 高度視機能障害の原因疾患の1位である緑内障は、自覚症状が現れにくい病気だ。2021年に日本眼科啓発会議が行った全国調査では、緑内障の診断を受けたときの状態は「何も問題は感じていなかった」が最も高く、59.1%だった。

 同様に、糖尿病網膜症や加齢黄斑変性も初期では自覚症状がない場合が多く、進行してから気づくことが多いという特徴がある。

 早期発見のためには、定期的な検診が有効だ。先の全国調査でも、緑内障と診断を受けた人が眼科を受診した理由は「検診を受けて問題があると言われたから」が53.0%だった。見え方に異常を感じたら眼科を受診することはもちろん、定期的に検診を受けるようにしよう。