ヘブンとイライザ、再会のハグ

 トキは外に出て、通りから、ヘブンの部屋を見つめる。まだ明かりがついている。気持ちの納めどころに困って執筆を続けているのだ。後ろ髪を引かれる思いで帰っていくトキ。

 そこへ声をかけてくるのは、べろんべろんに酔ったなみ(さとうほなみ)。

 銀二郎を見かけたと言うなみ。「随分とええ男になっちゃったけんね」と意味ありげに笑う。

「より戻すかね」
「いや そげな話は」
「なら私がもらっちゃおうかね」

 困ったトキはそそくさと帰っていく。「うるさいなー」とぶんむくれて。なんて正直なんだろう。

 銀二郎のことを言われてうるさいなーとなることや、トキは、ヘブンとイライザのことを勝手に調べてさりげなく聞いたり、元夫と会うと切り出すなど、恋する乙女そのものである。

 翌朝。ヘブンは朝早くから支度してイライザを迎えに行く。でも鏡の前にはトキの絵。

 ヘブンも来た桟橋にイライザが到着する。久々の再会なのに、握手という他人行儀さに、イライザは拍子抜けして自らハグをする。なんだか消極的なヘブン。もともと誰とも深く関係しないようにしてきた人だと思えば、こんなものだろうけれど、この態度には多分にトキへの思いが影響してしまっていると、視聴者誰もが感じているだろう。

 その頃、トキは、共同炊事場から川を眺めている。この場面を松野家のなかから窓越しに撮る村橋直樹演出。風情がある。

起業して月200円!明治を生きる銀二郎(寛一郎)の収入で当時買えるものがすごかった!〈ばけばけ第62回〉
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