栄東は1月受験校で前受けにもなる進学校ですので、第1志望校にも併願校にも選ばれやすいのです。
開智所沢も首都圏では早く入試が行われる埼玉の学校であることに加え、同じ学校法人が運営している開智との入試問題が共通で、受験料を2万円支払えば計5回の入試を全部、受験することも可能。都内からのアクセスも良く、開智ブランドも手伝い、受験生が殺到した学校になりました。
受験生にとっては併願しやすいシステムになっている学校は魅力的なのですが、それが現時点では開智所沢や栄東であるとも言えます。
ただ実際は、2008年のときよりも過去問が売れている学校は栄東だけです。先ほど「多様化」の話が出ましたが、それだけ受験校の裾野が広がって分散しているという裏返しでもあります。
昔だったら「御三家にチャレンジ」というのが基本だったんですよ。つまり、偏差値の高い順に志望校を決めていくという“常識”があったわけです。
その昔、私が塾業界にいた当時の親御さんは「とりあえず御三家の過去問は買い!」だったのです。入試が終わると親御さんが過去問を寄付してくださるんですが、御三家ばかり重複するという現象が起こっていたものです。
加えて、豊島岡のように御三家志望の子たちの併願先に選ばれるような学校はランキングに入りやすかったわけです。上位の子の併願先になり、その下の位置にいる子にとって第1志望になるという学校はいわば両方から求められる存在だったと言えます。
しかし今は入試時点の成績を重視するよりも、6年間の長いレンジに照らし合わせて、我が子を大きく育ててくれる学校を選択するという家庭が増えており、中堅校が伸びています。
――公立王国であった埼玉や茨城の中学受験熱も感じます。それとは逆に2008年に3位であった都立中高一貫校の需要が大幅に減っているように見えます。
埼玉は4年連続で志願者数が増えていますからね。茨城県では2020年以降、公立中高一貫校が続々と誕生し、全国最多の13校が開校。そのため過去問の需要が急上昇し、今年は品切れでご迷惑をおかけしました。







