一方で自社のプラチナカードを振り返ると、申し込みから会報誌まですべてが紙によるコミュニケーションだったのです。アプリもなければメディアもデジタル移行に全く追いついていない状況でした。それ自体が悪いというよりも、新しい時代の価値観にキャッチアップできていないことに危機感を覚えました。

 そこで、まずはセゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス(R)・カードのリブランディングから着手しました。既存会員や新規マーケットに向けて徹底的にアンケートを取り、改善を繰り返しました。個人的に競合するカードにも入会し、できる限りイベントやサービスを利用することで、少しでも現場を知ろうとしたのです。

富裕層向けイベントで
見事なまでの失敗

 実際にどのようなサービスやコンテンツが人気なのか、お客様は何を望んでいるのか、選り好みせず自分でもいろいろと体験してみました。ちょうどその頃はコロナ禍のタイミングではあったものの、各社がいろいろと工夫しながらダイニングイベントを開催していました。そこで弊社でも、富裕層向けにイベントをやってみようとなったわけです。

 ここで私は見事に失敗します。

 場所は協業しているパートナーにお願いして、都内のミシュラン二つ星レストランを貸し切り、ソプラノ歌手をお招きして美しい歌声を添える。料理は素晴らしい食材を使った特別コースをご用意いただき、ワインと一緒に寛げる時間をお楽しみいただこうと考えました。

 当時の私なりに、お客様に喜んでいただけるディナーイベントを企画したわけです。それで約5万円という内容はバランスが取れていましたし、特別なコンテンツで付加価値もあり、それなりに魅力的なイベントが企画できたと思ったのですが、いざ募集を開始してみると全く応募が集まらなかったのです。

 プラチナ会員に、新しくリリースしたアプリや書面で呼びかけても、なんと1人も応募がなかったのですから衝撃的でした。