明日のことも考えて早めに切り上げ、帰りのタクシーも手配しておけば、きっと満足度の高い会食になるのではないでしょうか。

「商品は売るな。価値を売れ!」

 この言葉は、私がよく営業チームに話す言葉です。営業の仕事は売り上げを伸ばすことですから、当然相手に何かを売らなければいけません。しかし、相手にとって「本当に価値のあること」を提供できなければ、話すら聞いてもらえないのです。

富裕層の「笑顔」を
引き出すための有効なヒント

 では、「本当の価値」とは何か。それは「損得」などではなく、「笑顔」に置き換えるとわかりやすいと思います。いま自分が話そうとしていることを相手が聞いて、笑顔になってくれるかどうか。その一点に集中して真剣に考えてみると、相手の価値観がわかるようになります。常にお客様の笑顔を想像する。そのために有効なヒントを、先ほどの事例をベースにお教えします。

1:お客様をアッと言わせる

 これは先ほどの例でいえば「地元の焼鳥屋へ連れて行く」という部分です。どんなお店に連れて行ってくれるのか、楽しみにしている期待を良い意味で裏切る。予想できない場所へ連れて行く。相手の知らない情報を共有する。

 これがうまくいくと、まずは相手の心をうまく掴むことができると思います。

2:お客様の期待の一歩先を行く

 これは「焼鳥屋でシャンパンが出てくる」部分にあたります。相手だって自分が知らないお店がまだまだあることは理解しているわけですから、美味しい焼鳥屋さんに出会えることぐらいは期待の範囲内です。しかし、まさかそこでシャンパンが出てくることは想定外だったのではないでしょうか。私はその方が乾杯にシャンパンを好まれることを知っていたわけですが、前日に用意して冷やしておいてもらい、そしてさりげなく出すことに意外性があるわけです。

3:自分が本当に良いと思った気持ちをストーリーとして提供する

 そして、なぜこのお店を選んだのか、自分の想いを交えながら伝えることが大切です。おすすめの料理にまつわるエピソードや、趣味趣向にまつわるプライベートな話で距離を縮めるのもよいかもしれません。相対的な価値ではなく、自分が大切している価値観を相手に伝え、共有することができれば、きっと相手も信頼してくれるはずです。