「塾どうだった?」は禁断の質問
保護者は「余計なことをしない」が鉄則

 この時期、保護者が最も注意すべきは、やはりお子さんへの接し方です。

 保護者は、お子さんがストレスをため込んでいるのではないか、無理をしていないかと心配になるかと思います。しかし、この時期の受験生は、塾の先生たちの巧妙なコントロールでモチベーションを維持しており、なおかつ入試というゴールが見えかけてきていて、「スタディハイ」と呼ばれる一種の充実感を感じている場合も多いものです。

 そんなとき、保護者は、よくも悪くも余計なことをしないことが肝要です。

 お子さんはすでに塾で朝から晩まで仕事をしている大人と同じくらい追い込まれています。帰宅後にさらに「塾どうだった?」「今日の勉強は順調?」といった質問をされることは、大人が家で仕事について問い詰められるのと同じで、ストレス以外の何物でもありません。

 保護者は、お子さんが話したいことがあるときに、耳を傾けてあげるだけで十分です。保護者の方から成績や勉強について掘り下げる「禁断の質問」は、お子さんの心とパフォーマンスに悪影響を及ぼしかねません。

 ただし、お子さんからのSOS(助けを求めるサイン)が出ているときは、保護者はただちに反応し、助けてあげるべきです。

 SOSのサインには、急な体調の変化や、夜眠れなくなる、あるいは物理的に勉強が回っていないなどが挙げられます。女子なら初潮が来たり、月経のずれが生じてしまったりといったこともあるでしょう。男子も緊張で、突然夜尿症が出ることもあります。

 この時期は、塾の先生を信頼し、家庭はリラックスできる場、英気を養う場として提供する。これが基本姿勢であり、塾に行った時に、最高の集中力とパフォーマンスを発揮できる状態を保つことが、保護者の責務です。

 家の勉強で疲れ果てて、塾で半分しか話を聞けていないような状態では、せっかくの塾の直前講習の効果が台無しです。