なので、僕は「怒るとき=許すとき」と決めています。

 許すということは忘れるということ。短く注意をしたら「はい、ココまで」と線を引く。その瞬間、相手のミスや落ち度はキッパリ忘れて、叱る前の「素敵なヤツ」というイメージにリセットするのです。

 その甲斐あってか、この10年、生徒とは円滑な関係。なかには「あんな失礼なことをしたのに覚えてないんですか?」「おもしろエピソードは覚えているのに、僕がやった無礼は1ミリも覚えてないですね!」と卒業生に驚かれることもあります。

 それでいいのです。自分が使えるエネルギーは有限なので「怒り」という大容量のエネルギーを使うときは、家族や傷ついてほしくない数人を守るためにとっておく。あとはスルー。それくらいが丁度いいんです。

職場の風通しを良くするには
ミスを隅に、恥をはじっこに

 いい仕事はいい職場から生まれるもの。

 チームが失敗を恐れず前向きにトライしていく職場とはどんな空間か?私たちリーダーは、それを創り上げていく演出家でなくてはなりません。

 空気がいまいちの職場とは、他人のミスにも自分のミスにも敏感な職場です。ミスをすると、冷ややかな目、悪態、叱責(しっせき)が飛んでくるので、おのずと誰が何をするにも「なんで?」「許せない」「謝れ」というマインドになっていきます。

 これは芸人学校でも起こり得ることで、生徒らが「スベる」ことに敏感になるとミスを恐れてネタをしない、前に出ない、恥をかかないといった悪循環が生まれます。

 なので僕は、ダジャレのようですが、教室のスミには「ミス」を、はじっこには「恥」を置くイメージで授業を運営し、生徒らに「そもそも人はミスをするもの。これを前提にやっていこう」と声をかけています。

「ミスは起こる」を前提すると、他者のミスを気にすることもイラつくこともなくなり、自分のミスへのハードルも下がり、怖がらなくなるメンタルになっていきます。

 そして、そういった集団は「失敗を他人に話せる共同体」にもなっていくのです。