離れて暮らす老親が危ない…「後妻業」に狙われる人の決定的な特徴と「家族が気づくきっかけ」おおむら・りゅうへい/2010年に一橋大学法科大学院卒業、同年司法試験合格。11年に弁護士登録、弁護士法人ロウタス法律事務所入所。19年に雨宮眞也法律事務所に移籍。弁護士登録以来、一貫して相続事件に注力。

大村弁護士 ご家族として注意しておきたいのが四つ目の特徴です。高齢で判断能力の低下が見られる、または健康に不安がある場合も、ターゲットになる傾向があります。

 認知症の初期段階など、判断能力が低下し始めている人は、複雑な契約や財産管理の変更(例:生前贈与、公正証書遺言の作成)の危険性や不利益を理解できないまま、後妻の要求に応じてしまうリスクがあります。

 また、健康に不安があり、死期が近いと見込める人は、短期間で相続人としての地位を得て財産を獲得できるため、特に狙われやすいターゲットとなります。

家族が気づくきっかけは
「若い奥さんをもらった」自慢

――「後妻業」トラブルにご家族が気付くケースでは、どのようなタイミングが多いのでしょうか?

大村弁護士 若い奥さんをもらうと自慢したくなるのが常のようです。後妻さんはできれば自分の存在は他の相続人には秘密にしておいて欲しいところでしょうが、ご本人から直接、「付き合っている女性がいる」とか「結婚した」等の連絡があるケースが多いです。

 ご本人から直接ということでなくても、ご本人と最低限のつながりを持っていれば関係者から間接的に伝わってくることもあるでしょう。

 他方、「父に女性の影が見えたので、『もしや!?』と思って、父の戸籍を取ってみたら結婚していました…」というケースもありました。

 もしご家族が「後妻業」と疑われる人物と関わりを持ち、財産を不当に奪われたり、生命の危険にさらされたりしている兆候がある場合は、すぐに警察や弁護士に相談することが大切です。

 特に、預金口座からの高額な出金や、後妻に圧倒的に有利な遺言書があるような場合は、弁護士を通じていち早く法的措置を取ることが有益でしょう。

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「後妻業」は、映画やドラマの中だけの話ではなく、高齢化と孤独が進む現代社会で現実に起きている相続トラブルです。

 財産を持つ高齢者が愛情や安心感を求める心理につけ込み、結婚や贈与、遺言を通じて財産を得ようとする手口は、外からは見えにくく、家族が気付いたときには手遅れになっていることも少なくありません。

 相続トラブルを防ぐためには、制度や法律以前に、日頃からの家族の関わりと見守りであることを、改めて認識しておく必要があるでしょう。

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