「そんな中、キャラメル色やキャンディー色に美しく塗装されてピカピカに輝くローライダーのクラシックカーの格好良さが、ギャングの派閥の垣根を越えて、多くの若者の心を引き付けたんだ」とカンポスさん。

入手困難な部品も…
情報は仲間同士の口コミでゲット

 ローライダーたちのネットワークは巨大かつ非常に密で、この密接なつながりに自ら飛び込まなければ、愛車のレストアが満足にできない仕組みになっている。

 たとえば、1940年代や50年代に製造された車のオリジナルの部品は今では非常に入手困難なため、仲間同士の口コミを通して、自分が欲しい部品の情報をゲットする必要がある。需要が高い部品の情報はSNSにはそう簡単に載らない。

「時にはごく小さな部品ひとつが1万ドルすることもある。そうなると争奪戦だよ」とフランコさんは笑う。多くの人々がオリジナルの部品にこだわるため、部品の情報は、仲間同士の口コミで流通するのだ。

「アリゾナやミズーリで価値ある車が妥当な値で売りに出されているという情報を聞けば、仲間と一緒に行って共同購入して皆で部品を山分けする。まるでブラックフライデーセールみたいに」とカンポスさん。

 仲間の間で、塗装が上手い人、エンジンや電気系統の修理が上手い人、内装が得意な人など役割分担が自然にできるため、お互いが助け合って愛車を何年もかけてレストアしていく。

 スワップと呼ばれる部品交換会で知り合い、家族ぐるみの付き合いになり、お互いの愛車を交換し合うほどの親しい仲になることもある。

 そして2024年にはついに「車高を低くすることは違法ではない」とカリフォルニア州の法律が改正され、ローライダーの歴史文化的価値が、州政府に認められることになった。

「ドルルル……」というエンジン音と共に「じゃ、また会おう!」とカーショーの会場からゆっくりと走り去って行くローライダーたちのクラシックカーの車列。

 シートベルトが元々装着されていない彼らの車は、高速道路を走ることも許可されているが、時速55マイル(約88キロ)以上のスピードは決して出さず「とにかくスローに走る」のがモットーで、それを周囲の車が興味深く見守り、手を振られたり、写真を撮られることも多いという。

「クラシックカーにぶつけたら、ぶつけた側の保険の支払い額が大変なことになるから、みんなちゃんと車間距離を取ってくれるしね」とカンポスさんの妻のマリーさんは笑う。彼女の愛車は青色に輝く54年製シェビー・ベルエアだ。

 電気自動車に音もなく追い抜かれようとも、ローライダーたちは、40年代や50年代の郷愁たっぷりのエグゾースト音を愛し、ゆっくりマイペースでロサンゼルスの街を走り続けている。