不倫報道は世の中の反応によって
俳優の“その後”が決まる?

 緊迫する現場が衣装の到着で緩んだのも束の間、「週刊文潮」の記者・平田奏(川口春奈)から連絡が入り、藤原の過去の「不倫」が報道されることがわかる。

 まず事務所同士の確執と、そこで発生する嫌がらせにリアルがある。テレビ局も人気タレントを抱える大手であるKODAMAプロに頭が上がらず、キャスティングにその意向が反映されるのを止められない。

 また、不倫が報じられた際に、藤原の妻・美礼(前田敦子)が「KODAMAプロならもみ消せたのに!」と叫ぶシーンもある。さもありなん、と思わせられてしまう展開である。

「週刊文潮」は、わかりやすく「文春」と「新潮」からつけられた名前で、思わず笑ってしまう。編集部の入っているビルのロケ地は、日比谷公園近くの中日新聞東京本社ビルである。

 川口春奈演じる平田はもともと文芸の編集者志望だったが、週刊誌に配属となり、そこで頭角を現した記者である。それぞれの記者がとくダネを掴んでくることを求められる企画会議の様子や、正社員とフリー記者が混在する中でのそれぞれの思惑、さらに編集部(出版社)と芸能プロの癒着も描かれる。

 数百万円でスキャンダル記事を止めさせようとした井岡に対して、平田が「何も知らないんですね」と笑い、記事が載れば軽く1億円を超える利益になると話す場面もある。

 現代的だと感じたのは、不倫スキャンダルが降板につながる大問題となるか、そうならずに許されるかは、世間の受け取り方にも寄ってくる、と示されていることだ。だから社長の井岡は、ネット上でどれだけ「炎上」しているかを気にし、炎上を収めるような書き込みをスタッフに指示さえする。

 実際、不倫についての世論は年々厳しくなっているように感じられるが、それでもその俳優のキャリアや打ち出し方、不倫の内容、配偶者の態度など、様々な要素によって世間の反応は変わってくる。スポンサーもそれを見ているから、世の中の反応をどう操作するかが重要だと、炎上を収めたい側は考えている。