タレントによる性加害スキャンダルは
どう描かれたか

 視聴する前に知人のメディア関係者から「あの問題を彷彿とさせる」と聞いていたので、性加害スキャンダルがテーマになるのではないかと予想していた。この予想は的中した。

 中盤である芸能プロダクション関係者が亡くなり、この人物の死後に、この人物が過去に行った性加害が次々に告発される……という筋なのかとも思ったが、これはなかった。

 そうではなく、登場人物の中のひとりである俳優に対して、性加害の告発をしようとする女性が登場するのである。

 彼女の辿ってきた過去がまた悲しく、芸能プロダクションにスカウトされて高校を中退し、上京するも、そのプロダクションは高額なレッスン料を事前の了承なく取り立てる悪どいやり方をしている。

 最後のチャンスと思って挑んだオーディションも落選し、その後にどうやら受賞者は最初から決まっていた「出来レース」だったらしいと知る。失望の中で有名俳優との飲み会に誘われ、コネクションができるかもと考えて参加したところ、被害に遭う。すぐに自分の事務所のマネージャーに話すも、厄介ごとを持ち込むなと逆に解雇されてしまう。

 飲み会は俳優の自宅で行われるのだが、女性が俳優と2人で話していると、他のメンバーがそそくさと帰り支度を始めるシーンがある。

 近年、有名タレントによる複数の性加害問題が報じられたが、どうしたってそれを連想してしまう。これは地上波では放送されないのでは、配信だからできたのでは、と思わせる描写の細かさである。

『スキャンダルイブ』は配信事業を行うABEMAが制作を行っている。ABEMA制作のドラマは、のん主演の『MISS KING』も話題だが、テレビ局に集まる業界の裏側情報を余すことなく今回の作品に生かしているようにも感じられる。