利便性だけが空港の良さじゃない?
ゴルフ場、足湯、展望台を楽しむ手も

 今回は、空港のアクセスについて独自のランキング形式で述べたが、利用者それぞれに便利・不便な空港というのがあるだろう。また、特にランキング下位の空港の関係者らは、何とかアクセス利便性を向上させようと努力しているケースもあり、その点は評価できる。一方で、利用者からすると依然として改善余地がある――案内表示を工夫し、交通頻度を上げるなどしてアクセスに関する心理的抵抗を少なくすることができるのではないか、と思うこともある。

 最後に、アクセスが悪い空港には、悪い空港なりの楽しみ方がある。空港自体を楽しむことだ。ワーストの広島空港には隣接してゴルフ場が、大分空港にはターミナル内に足湯がそれぞれあり、静岡空港には富士山をバックに飛行機写真が撮影できる素晴らしい独立展望台がある。

【ランキングの点数設定の考え方】

実利用者による実際アクセス時間
実際に空港から飛行機に乗った(または降りた)利用者が、アクセス・イグレス時間を空港旅客動態調査(21年度)のアンケート調査から試算したもの。平日、休日別に最終目的地から空港までかかった時間を30分以内、60分以内、90分以内等回答しているアンケート結果を加重平均して算出し、その数字を5~10分刻みで上から点数付けした。

公共交通機関のアクセス時間
利用者が多い都市の主要駅から空港までの、バスもしくは鉄軌道によるオーソドックスな公共交通機関(アクセス分担率の高い公共交通機関)の時刻表時間を5~10分刻みで上から点数付けした。

市街地との近接性
利用者が多い都市の役所から空港までの道路距離を5~10km刻みで上から点数付したもの。距離はグーグルマップで検出された最短距離を採用した。なお、岩国空港は広島市、成田空港は東京都と、空港が拠点する都市ではなく利用者が多い大都市を起点に算出しているため、どうしても不利な数字が出てしまうことに留意してほしい。特に岩国空港は山口県に位置する空港であり、岩国を基準と考えると市街地に近接し、アクセスが便利な空港である。

主要公共交通機関料金の経済性
公共交通機関のアクセス時間で採用した公共交通機関の料金をアクセス時間で除し、1分当たりの料金を算出し5~10円/分刻みで点数付けした。

鉄軌道アクセスの有無
JR・私鉄・モノレールなど鉄軌道が空港にアクセスしている場合に加点。うち2社がアクセスしている場合は倍とした。なお、空港駅はなくとも山口宇部空港におけるJR草江駅は徒歩10分以内でつけるため加点している。

船アクセスの有無
空港から船で別な場所に行ける場合も加点した。なお、大分空港は24年度中にホバークラフトが運行開始する蓋然性が高いことから現時点で加点した。

大規模国際空港規模補正
成田空港のように国際線乗客が多い場合は、より広範囲な地域から空港にアクセスすることが多く、空港旅客動態調査における実利用者による実際アクセス時間が長くなってしまうことをカバーするため、補正措置として国際線利用者年間300万人以上の空港に加点した。