「漫画家になる夢を諦めた僕が、なぜ漫画家になれたのか」弘兼憲史が説く「人生、諦めが肝心」論写真はイメージです Photo:PIXTA

「諦めなければ必ず叶う」と、かたくなに夢を追い続ける人がいる。漫画家・弘兼憲史氏は、かつて著作で「夢は9割叶わない」と掲げ、一部から「なんて夢のないことを言うんだ」などの批判を浴びた。しかし彼が伝えたい真意は、夢を諦めることの大切さだ。漫画家、小説家、新聞記者…多くの夢を潔く諦め、新しい目標を定めてきた弘兼氏。その経験から得た「諦めて、次へ」という人生哲学を語る。※本稿は、漫画家の弘兼憲史『弘兼流 人生は後半戦がおもしろい』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。

大人になると理解できる
「叶わないからこそ“夢”」

 あなたは幼い頃、どんな夢を抱いていましたか?

 プロ野球選手?パイロット?総理大臣?宇宙飛行士?

 実は10年ほど前、『夢は9割叶わない。』という本を出して、一部の方から批判を浴びたことがあります。「子供が夢を抱くのは大切なことじゃないか」「何て夢のないことを言うんだ」「9割叶わないのなら、誰も夢を持たなくなるだろう」……というお叱りでした。

 ですが、本をきちんと読んでもらえばわかるのですが、僕は何も夢見る子供に向かって、「夢は9割叶わないんだから、無駄な努力はしないほうがいいよ」なんて言うつもりはありません。むしろ、子供が夢を抱き、それに向かってがんばるのはいいことだと思っています。

 ただ、人は成長していきます。

 たとえば「プロ野球選手になりたい」という子供の数は、歳をとるたびに減っていきますよね。ある時期――中学生か高校生か、小学生かもしれません――がくれば、自分の実力や才能という現実を知り、いい線いっている、もっと努力が必要、とてもじゃないけど無理、といった判断がつくようになるからです。