業界内を回遊する人も多いコンサル業界では、会社を問わずこのようなコミュニケーションスタイルを良いものとする文化が定着している。先ほど挙げたベイカレントに限らず、各社の新人研修ではこういった内容について繰り返し説明されていることが想像できる。
結論から話せない、MECEにまとめられないコンサルタントは、どこのファームに行っても評価は低いはずである(というよりも、業界からの退場を迫られる可能性が高い)。
コンサルをバカにして
コンサルから学ぼうとする
もっとも、今述べたような思考プロセスやコミュニケーションスタイルの話は、本来的にはケースバイケースで考えるべきというのが正しい捉え方だろう。
MECEに構造化したからといって組織を劇的に変革するソリューションが必ず生まれるわけでもないし、結論から話すことにこだわりすぎた結果として背景情報への理解が深まらずにいまいちな説明になってしまうことも珍しくない。
そういったビジネスシーンにおけるリアルを無視して原理主義的に「MECE」「結論から話せ」と言い募る人たちは、時として「これだからコンサルは……」とコンサルではない人たちからバカにされる。
ただ、このようなバカにされかねない話の対象となるのは、もはやコンサルファームに属するコンサルタントだけではなくなってきている。コンサルファームでの仕事を通じてその社員が身につけるスキルは、社会全体で求められている成長のあり方そのものである。
業界外にいる人でも、それを自分の手にしたいと考える人が生まれるのは自然な流れであり、ビジネスパーソン向けの商売をする人たちがその機運をキャッチしないはずがない。結果として、2020年代半ばの書店のビジネス書コーナーには、「コンサル」という言葉が冠された書籍が溢れ返っている。
『東大生はなぜコンサルを目指すのか』(レジー、集英社)
よくわからない横文字を振りかざす話の通じない人たちとして時に揶揄されるコンサルだが(『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト』ではよく練られた魅力的なプロセスを「セクシーなプロセス」と呼んでいるが、これをそのまま真似する人はさすがに少ないだろう)、一方でそこで得られるとされているスキルをコンサルではない人たちも躍起になって得ようとしている。
ロジカルに、MECEに、という掛け声はコンサル業界という狭い枠をとっくに飛び出している。
コンサル的思考プロセスの適用範囲は気づかぬ間にどんどん広くなっている。







