「昭和のセクハラ体質」と「社員よりも取引先を過度に重視する姿勢」 

 フジテレビが厳しく批判された内容は、女性アナウンサーを接待の場に同席させるなど性役割意識が色濃く残っていたこと、および有力な取引先であるタレントを自社の社員よりも重要な存在として対応を続けていたことである。 

 では、このような状況がフジテレビに特有のものであったかといえば、そうではない。かつて、香川県の地銀である百十四銀行で以下のような問題があった。

 2018年、百十四銀行では、会長と執行役員が、取引先との会食に若手女性行員を同席させた。その席で、取引先が女性行員に対して繰り返し性的な言動を行ったが、上司たちは制止しなかった。その後、女性行員が社内通報制度を利用して事実を告発した。同行は外部弁護士を交えた調査を実施し、会長は辞任、執行役員は報酬減額処分となった。

 根底にあったのは、「女性行員は会食の“華”であり、和やかな雰囲気づくりのために活用される存在である」という、時代錯誤の性役割意識であった。また取引先の問題のある言動から自社の社員を守らないという姿勢の問題でもある。会長や執行役員自身が加害者ではなかったものの、防止義務を果たさなかったことで経営責任が明確に問われた。<注:「百十四銀行 女性行員への不適切行為制止できず会長辞任」(「毎日新聞」2018年10月29日付) より>

 残念なことではあるが、昭和や平成の初期にはこのようなことは普通にあった。しかしながら、ほとんどの企業は自社のあり方を見直し、とくに、いわゆるパワハラ防止法が制定された2020年以降は、セクハラに対する意識も同時に大きく向上させてきたのである。 

 たとえば、以下に示す自社の女性係員へのセクハラ発言に対する日本航空(JAL)の対応は、高く賞賛された。

《2017年10月、日本ハムの社長および50代の男性執行役員らが、欧州出張のために羽田 空港のJAL国際線ファーストクラスラウンジに集まった。その際、ラウンジ業務に従事していたJALの女性係員に対して、「制服でするの?」「(社長に)体を洗ってあげてよ」といった不適切な発言を繰り返した。いずれも当該JAL女性係員を性的対象として扱い、人格を無視した発言であった。本件に関して、被害に遭った女性係員が勤務先であるJALに報告し、JALは日本ハム側に正式に抗議を行った。その結果、2018年1月29日付で、社長および同行した執行役員が辞任することとなった。》 「日本ハム前執行役員がセクハラ発言 退任の前社長も同席」(「日本経済新聞」2018年2月 16日付)などより