では、下手をすると大問題になるようなこんな場面にあって、あなたの会社のトップは適切に判断できるだろうか。「コンプラ部署に相談すると、“正しく”対応され、その結果、取引先を切るような“間違った”対策をとられたりするから、コンプラなんかに相談してはいけない」と判断したりしないだろうか。
「利益相反」という概念の不在
3点目の問題は、利益相反である。具体的には、編成局の幹部が、加害者であるN氏側に 弁護士を紹介したり、N氏に代わって見舞い金名目での現金100万円を女性の入院先に届けようとしたりした行為のことである。 これらの行為の何が問題なのだろうか。
問題は、この幹部はフジテレビの人間であり、被害申告者の上司筋の人でもあって、社内的には「被害者の保護と支援を担うべき立場」にあったという点なのである。それにもかかわらず、この幹部はその立場を放棄し、加害者側の利害を優先させた。これは利益相反に該当する行為であり、職務上、倫理上の重大問題といえる。
本ケースでは、日ごろの人間関係の強さによって、幹部はとくに何も考えず、反射的に弁護士を紹介する等の行為をしてしまったのだろうと考えられる。おそらく利益相反という概念も認識していなかったのではないだろうか。本来なら、自分の行為が組織内外からどのように見られるか、被害者や第三者にどのような影響を与えるか、どのような立場上の義務があるかなどを熟慮することが必要だったのである。
さて、本件と同じような状況に陥った場合、あなたの会社の管理職は、利益相反という概念を想起し正しく行動できるだろうか。利益相反は取締役の話だろうとか、取引の意思決定のときの話だろう、といったように矮小化して考えてしまう可能性はないだろうか。
そうであれば、いざというときに、この幹部と同じような利益相反行為をしてしまわないとも限らない。







